セレブがフォトコールで自ら写真を撮る理由

 第92回アカデミー賞授賞式が、2020年2月9日(現時間)に行われました。そして、その後、セレブたちの二次会である『ヴァニティ・フェア』誌主催の恒例のアフターパーティーが開催されました。

 アフターパーティーでは、この重要な夜を祝って多くの写真撮影が行われることが容易に予想できます。このため、自分のカメラを持ってこなくても、フォトコール(写真撮影タイム)の脇に並ぶ多くのプロカメラマンがセレブが定位置につくとすかさず、ストロボ発光の途切れなく連写してくれることは間違いありません。

 そんな中、アフターパーティーに参加したティモシー・シャラメもそのことは予想していたことでしょう。ですがシャラメは我々のそんな予想を覆そうとしたのか、定位置にスタンバイすると、おもむろに自らの(使い捨て)カメラを手に取ったのでした…。これはカメラマンに対し、ミラー効果を狙った行為なのでしょうか? それとも、「目には目を」的な復讐なのでしょうか(笑)。

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 この何ともアーティスティックな行動は、シャラメが2019年9月のベネチア国際映画祭でも見せたものでした。おそらくは「アーティストはカメラマンの被写体」という立場を逆転させようとする、あまのじゃくな行為なのかもしれません。高額で取引可能なスターの写真を撮ろうと躍起になっているパパラッチたちにとっては、それを構えたセレブの顔を自ずと隠してしまうカメラは、邪魔で仕方ないものだったでしょう。ですが、そこには「私は見せ物ではなく一人のアーティストだ」という重要なメッセージがあったのかもしれません…。

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 2019年5月のメットガラでフランク・オーシャンが自らのカメラを取り出したときには、ちょっとした隠し芸のようにも思えました。一方、オーシャンのマスコミ嫌いを考えれば、カメラの被写体になるよりもカメラの後ろに隠れようとするのは理にかなった行動です。

セレブがフォトコールで自ら写真を撮る理由

 スマートフォンの登場で、私たちは聴衆席でのグループセルフィーやトイレでの奇妙な鉢合わせといった、さまざまな授賞式の舞台裏の様子を次々に目にするようになりました。オーシャンもシャラメも、自分たちのブログやインスタグラムアカウントにあえて低画質の写真を投稿することで知られており、一般的な高画質で加工された写真の流行に逆らってきました。

 ここで注目すべきは、シャラメが手にしたカメラは、オーシャンが手にしていたコンタックス 「T3」のような名機ではなく、使い捨てカメラだったことです。いくら24歳の若さの俳優だからと言って、自分愛用のカメラを節約したところで何も得るはないことは間違いないわけで…。つまりは、「この選択にメッセージがあるに違いない!」と読まずにはいられないのです。

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 シャラメが実際に何かを記録し、それを利用したたかったのであれば、iPhoneの方がより実用的で高画質な写真を撮影できたことでしょう。なのでやはり、これは意識的なチョイスと言えることは間違いないでしょう。あえて言うなら、シャラメの行為はフォトコールがいかに使い捨てなコンテンツなのかを指摘していたのでは?とも取れるわけです。また、単にメディアをあおる1つの手段だったかもしれませんが…。

 ちなみに、このようなセレブスナップの元祖は当然ながらカニエ・ウェストです。ウェストは2007年のニューヨークファッションウィークで、シルバーのデジカメを取り出してランウェイを撮影していました。このときの写真が、ニューヨーク近代美術館に展示されるのも遠い未来ではないかもしれません…。

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 Source /Esquire UKTranslation / Wataru Nakamura※この翻訳は抄訳です。


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