「あんなこといいな」が全部ある
「あんなこといいな、できたらいいな」某国民的アニメのごとく、Ronin 4Dは4次元ポケットから飛び出したようなカメラだ。
噂の段階でリークされた写真を見て、白鳥とか、志村(けん)とか、その姿を見て揶揄した人が多かったようだが、実機を触れるとその完成度と隙の無さに平伏する。
細かいスペックは割愛するが、カメラ自体がジンバル。FX9を少し大きくしたような筐体に取り外し可能なデュアルハンドル(左手はジンバル操作、右手側はフォーカス操作可)、タッチ&ボタン操作可能な大型の液晶モニター、ワイヤレスでの映像電装システムを組み込み、フルフレーム8K or 6Kのセンサー、可変NDを内蔵し、ProRes RAW/ProRes HQ/H.264を内部収録。基本はMF操作だが、LiDAR測距システムでAF制御可能。メニューなどのUIはBlackmagic Designのオマージュのごとく、使いやすい。
しかもマウントはDJIのDLマウント、LeicaのMマウントにSonyのEマウントとマウントを交換して使用できる上、Eマウントの電子接点も読めるのだ。またREDのようにバッテリーモジュールとボディの間に追加する形でXLR端子などを追加することもできるという。
ARRI/RED/BlackmagicDesign/Sony/Canon 世界中で使用されているだろうシネマカメラの良いところが結集し、Roninと合体したのがこのRonin 4Dだ。各メーカー、色々マーケティングをしていると思うが、普通は作り手の都合でマーケティングの声がすべて反映されることは少ない。
これほどに我々現場サイドから吸い上げた要望がプロダクトに反映されていることがとにかくすごい。よくこれだけのものを作ったと、久々に感動した。
「規定の箱の中に機能を詰め込む」とすぐ限界に達するが、「詰め込みたい機能を受け入れることができる箱を作った」DJIに心から敬意を示したい。
センサーはフルフレームの6K・8Kモデルがあり、今回のデモ機は6Kモデル。6Kで60pまでだが、Super35mmモードにし、SLO(スロー)モードにすることで4Kで120pのHS撮影が可能になる。かたや8Kは最大75fpsまで。Super35クロップモードで5.5K撮影可能(ただし、このクロップモードでもHS撮影は不可)となる。用途に合わせて選択可能なので、基本別物と考えた方が良さそうだ。
前述だが9stop分(0.3-2.7)の可変NDフィルターも内蔵しているのは素晴らしい。14+stopのダイナミックレンジ、Dual Native ISO(800/ 5000)となっている。これは6Kカメラの場合で、ちなみに8Kカメラの場合は、(800/ 4000)となる。どちらとも低照度での撮影も可能だ
レンズマウントはDL・M・Eマウント。DLマウントはレンズがボタン着脱式だが、他のマウントはPLレンズのようにマウント側を回して固定するタイプ。Mマウントのように電子接点がないものはLiDARとレンズギアモーターを使用してAF化する(後述)。
カメラ電源はボタン長押し。ボディ側面は至ってシンプルな作り。ジンバルのON/OFFやジンバルのフォローモードの切り替えができる。ジンバルのリセンターボタンも搭載。サイドハンドルが無くてもジンバルの制御ができるようになっている。4Dボタンを押すことでジンバル制御にZ軸が加わる(後述)マルチホイールによってフォーカスがコントロールできる。
ボディ側面下部のCFexpressカードスロットに専用アダプタを装着することでPROSSDカードが使えるようになる。DJI PROSSD(1TB)を使用することでPRORES RAW収録や4K120p撮影(Super35mmモード)での収録が可能になる。