技術の本質を理解し、事業の基盤となる新技術を自ら生み出していく|ソフトバンクの研究開発 - ITをもっと身近に。ソフトバンクニュース

ソフトバンクのDNAである「挑戦」と「進化」。通信事業者の枠を超えた革新的なサービスを生み出し、時代を変える企業を目指すうえで鍵となるのが「研究開発」です。ドローンやHAPSなど、新たな通信プラットフォームを用いた無線通信技術や、その礎となる電波伝搬モデルの開発や国際標準化などに取り組む基盤技術研究室の室長に話を聞きました。

ソフトバンク株式会社 テクノロジーユニット基盤技術研究室 室長長手 厚史

ドローンやHAPSなど、新たな通信プラットフォームを活用した新技術の研究開発に挑戦

基盤技術研究室は、どのような部門なのでしょうか?

「基盤技術」という名前の通り、将来の事業を生み出す基盤となる新技術の研究開発を行っています。ソフトバンクでは研究開発においても将来的な事業化を強く意識していますが、新しい技術はチャレンジしてみなければ分からないことも多いものです。

当研究室には博士号取得者も多く在籍しており、研究段階から自らの手でしっかりと技術を積み上げ、長期的な視点で研究開発を行っている点が大きな特徴だと思います。

主な研究開発の内容を教えてください。

現在は、新たな通信プラットフォームであるドローンやHAPSを用いた無線通信技術の研究開発を中心に、モバイルネットワークや新領域の開拓などにも取り組んでいます。

具体的に言うと、ドローンでは災害発生時の迅速な通信エリアの復旧や遭難者の探索を目的とした「ドローン無線中継システム」の研究開発などです。

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飛行する基地局であるHAPSは昨年、成層圏テスト飛行に成功。これから事業化を目指す段階ですが、われわれはさらに先を見据えて、大容量化や通信品質の向上に関する研究開発を行っているところです。HAPSは地上に設置された基地局とは異なり、安定したサービスエリアや通信品質を実現するために、ビーム制御技術など新たな取り組みが求められます。

このような通信方式の検討や評価を高い精度で行うには、HAPSからの電波伝搬特性の解明が重要です。われわれは実際に測定したデータに基づいて電波伝搬モデルを開発し、ITU-Rで国際標準化することを目指しています。これにより、効率的な通信方式の研究開発や国際的に信頼されるエリア設計システムの実現につなげていくことが狙いです。

電気通信分野における国際連合の専門機関である国際電気通信連合(ITU: International Telecommunication Union)の無線通信部門(ITU-R: ITU Radiocommunication Sector)で、無線通信に関する国際的規則である無線通信規則(RR: Radio Regulations)の改正、無線通信の技術・運用等の問題の研究、 勧告の作成及び周波数の割当て・登録等を行っている。

引用元:総務省 電波利用ホームページ

他には、どのような研究開発をされていますか?

新領域の開拓に向けて、さまざまな取り組みを進めています。例えば、通信だけでなく充電も無線化する「オールワイヤレス」の実現に向けたマイクロ波によるワイヤレス電力伝送などもその一つですね。

また、長期的な視点で研究開発に取り組む一方で、専門知識を生かして短期的な事業課題を解決することもわれわれの重要なミッション。

これまでにも、BSデジタル放送の受信に起因して発生す電波干渉を自動的に検出してキャンセルするBS-IF信号干渉キャンセラーの開発・実用化や、海外から到来するダクト干渉波を効率良く低減するダクト干渉キャンセラー装置の開発など、さまざまな事業課題の解決にも貢献しています。

基盤技術研究室の実験風景