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ウクライナの主要都市やウクライナ軍の防御地域が、ロケットやミサイル、砲弾で攻撃されている。
ロシア軍は、ウクライナの市民が住む都市に短距離弾道ミサイル、空対空ミサイル、巡航ミサイルを撃ち込んでいるのだ。
これらのミサイルは、精密誘導兵器である。狙ったところにミサイルは飛んで行く。
つまり、ロシア軍は市民が住む地域を狙っているということだ。市民を狙う攻撃は許されることではない。
ウクライナのロシア国境に近い都市の一部は占領されつつあるようだ。だが、ウクライナ軍は、予想に反して、東部戦線からの戦車軍団の攻撃を止めて善戦している。
善戦できているのはウクライナが正義の戦いであること、国土防衛戦であるからだ。
このほかにも、ウクライナ軍の防御戦法およびロシアの軍・国内の事情があるように思われる。
最初の戦闘はウクライナ軍の東部戦線の防御陣地、空軍基地、防空レーダーサイトに対して、ミサイル、ロケット、砲撃が行われた。
このために、ウクライナ軍の防空戦や航空戦闘部隊は、全滅はしていないが大きな打撃を受けたようだ。
ウクライナが地上軍やミサイルに攻撃された場所(2月23〜24日)
このタイミングで、ロシアの15万〜20万人の兵とともに、近代的な戦車軍団が東部戦線や国境沿いの町になだれ込んでくると予想したが、現実には起きてはいない。その理由は、何か。
①プーチンは、先遣部隊だけで攻撃し、被害は最小限で、ウクライナの大統領を屈服させられると考えて、主力を投入していない。また、作戦計画の再検討中であろう。
②ロシア軍内部に戦闘に反対あるいは不満を持っている。無駄に死にたくはないと考える者が多い。
③ウクライナ軍の対戦車戦闘が、予想以上に成功している。
理由は、この3つが考えられる。このうちの1つかもしれないし、3つが重なっていることも考えられる。
侵攻開始前にNATO(北大西洋条約機構)が供与した約3000基以上の対戦車ミサイルが効果を発揮しているのかもしれない。
ロシア軍の戦車の射程は、最新型であっても約2000メートルだ。これに対し、ウクライナ軍の対戦車ミサイルは射程が3000〜5000メートルある。
大平原で、戦車と対戦車ミサイルが戦闘すれば、対戦車ミサイルが戦車を撃破できる。
ロシアの戦車は、アクティブアーマーという対戦車ミサイル射撃効果を減殺させる火薬を装備しているが、数発命中させれば、停止させることができる。
NATOがこれから優先して供与するのは、このミサイルだ。市街地を守る兵や予備役兵には、この兵器が必要だ。
映像を見ていると、自動小銃を携帯している兵士や市民兵が多く見られるが、小銃では、戦車や装甲戦闘車を止められない。
市民兵が火炎瓶を投げつけるのは、狙い撃ちされるので危険だ。
米軍の対戦車ミサイル
対戦車戦闘イメージ
対戦車ミサイルで戦車を完全には破壊できないが、ミサイルが戦車に命中すると、熱で溶けたドロドロの鉄が、戦車の装甲を突き抜け、戦車内部を破壊し、戦車兵を殺傷する。
対戦車ミサイルによる戦車装甲板の貫通イメージ
ロシア軍は、ウクライナ軍の防空網を破壊したと発表した。だが、ロシアの空挺作戦に使用した「IL-76」輸送機が撃墜されたという情報もある。
現実に、ロシア空軍の戦闘機はウクライナ上空をあまり飛行していない。
ウクライナ軍の防空戦闘が効果を発揮していると考えられる。そのうち最も効果的なのが、携帯用の地対空ミサイルのようだ。
この兵器は、兵士が肩に担ぎ、ロシア軍の戦闘機に狙いを定めて発射するものだ。
ミサイル自らが、目標に向かって飛翔し命中するのである。中東では、テロリストが、攻撃してくる戦闘機に対して反撃し、かなりの成果を上げている。
このミサイルは、高度約1000メートル、射程4〜6キロまでの戦闘機に命中させることができる。NATOが供与すべきなのは、このミサイルだ。
携帯地対空ミサイルによる防空戦闘イメージ
都市を守る兵には、この2種類のミサイルが必要である。
使い方も併せて教育・訓練すべきだろう。このことは、映像を見ていて、急いでするべきだと感じた。
ロシア軍の防空機関砲を搭載したトラックが、ウクライナ軍に破壊された。そこには、ウクライナ兵の戦闘服を着たロシア兵の死体が横たわっていた。
敵国の軍服を着て潜入する行為は、戦争法的に許される行為ではない。
ロシア軍のウクライナ侵攻は、正義のない悪意ある攻撃だが、兵士がやっていることも戦争法的に許されるものではない。
KGB出身の大統領だからこそ、このようなことを兵士にやらせているのだろう。このような邪悪な戦い方も許されない。
ウクライナ軍に破壊されたロシア軍トラックと対空砲(2月26日撮影)
ロシア軍の戦車や歩兵戦闘車はガソリンがなければ停止する。ミサイル、ロケット、砲弾は、弾薬置き場か弾薬庫を爆破すれば、弾薬の補給が止まる。
本来であれば、弾道ミサイルを使用して敵基地攻撃を行うのが効果的だ。だが、ウクライナにはそれはないようだ。
ではどうすればよいか。
ロシア国内には、戦争に反対する大勢の人々、戦死したくない兵士、その兵士の家族、プーチン政権を潰したい人々などが大勢いる。
今回の戦争は、やりたくない戦争を、プーチンによって無理やりやらされているものだ。
であれば、これらの大勢の人々は、自国のロシア軍の弾薬や燃料を爆破すればよい。これは、難しいことではない。
市民や兵士が火炎瓶を弾薬置き場に投げつければよい。あるいは、ドローンを使って、火炎瓶と弾薬の上に落下させればよい。
砲弾やミサイルが1発でも爆発すれば、誘爆して大爆発を起こす。
ガソリンを積んだタンクローリーに火炎瓶を投げつければよい。可能であれば、火砲を使って砲弾を数発撃ち込めば効果は高い。
このことを、世界中からロシア人に対して、SNSでメールを送り、大勢のロシア人が行動すればよい。戦争をしたくない兵士もだ。
多くのウクライナ市民がスマートフォンを見ている。おそらく、ウクライナの現状に関する情報を見たり、家族・友人とのメールのやり取りをしたりしているのだろう。
つまり、スマートフォンが戦場でも使えるのだ。スマートフォンを使ってSNSで情報を流せば、戦争の様相が変わる可能性がある。
ロシア軍の侵攻を止められるのは、世界中からのロシア語での発信とロシア人の行動だ。ロシア語で「軍の弾薬や燃料を爆破しよう」を広めれば、戦争は停止できる可能性がある。
世界がやっている制裁や非難では、戦車の侵攻とミサイル攻撃は止まらない。停止させられるのは、一人ひとりのSNSだ。
ロシアでは1916年にロシア革命を起こして、皇帝を倒した。
ロシア革命の始まりは、日露戦争の時であった。今、ロシアはプーチン皇帝の命令でウクライナに侵攻している。世界やロシア人が、プーチンの暴挙だとして反対している。
今、ロシアで起こっている反対運動を拡大して、再びロシア革命を起こす時なのではないか。
ロシア軍も銃口をウクライナに向ける時ではなく、暴力的な皇帝に向ける時ではないか。
プーチンの反対者は、KGBによって爆殺されてきた。ロシアの民主化を止めているのは、プーチンだと、ロシア人のほとんどが思っているだろう。
新たな革命を起こすのは、まさに今である。
筆者:西村 金一