米空軍無人偵察機の一時展開案の現地調査について説明する九州防衛局の担当者(左側)ら=9日、鹿屋市役所(片野裕之撮影)
海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿屋市)への米空軍無人偵察機MQ9の一時展開計画を巡り、防衛省九州防衛局は9日、鹿屋市を訪れ、中西茂市長に配備に向けた日米合同の現地調査を早ければ21日から複数回行うと明らかにした。基地内設備に加え、配備された際に部隊が利用可能な基地外の民間宿泊施設や飲食店などを調べる。鹿屋市側は「判断材料になる」として調査受け入れに理解を示した。【写真】米空軍などに配備されている無人機MQ9(米ジェネラル・アトミクス社のパンフレットから)
防衛局の伊藤哲也局長によると、調査参加者は米側が在日米軍、太平洋空軍、米本土の20~30人程度、日本側は防衛省、海上幕僚監部、九州防衛局の10人程度。具体的な日程や所要日数は「調整中」とした。基地内の格納庫、電力、航空燃料、通信、滑走路、運航に支障を来す恐れがある野鳥の状況を確認。基地外では宿泊施設の収容人数、店内飲食や配達ができる飲食店、クリーニング店、医療機関も調べる。新型コロナウイルス対策のため調査参加者は期間中、基地内で宿泊・飲食する。 伊藤局長は鹿屋を検討対象とした理由を「周辺海域の情報収集活動を進めるための地理的位置関係や、米軍と自衛隊の連携強化の重要性を踏まえた」と強調。「調査を速やかに実施し、展開の可否について早期に結論を得たい」とした。中西市長は「基地負担が大きくなれば、市民の負担になる。地理的に優位と押し切られても今後が不安だ。既存の自衛隊基地が何重にも役割を担わされるのは課題がある」と応じ、丁寧で分かりやすい説明を求めた。
鹿屋市は防衛局と2016年、在日米軍のKC130空中給油機訓練に関し「訓練の拡大や米軍基地化は考えていない」との文言を含む協定を結んだ。中西市長と伊藤局長はともに「給油機訓練に限った協定」との認識を示した。 関係者によると、配備が検討されるMQ9は7機前後。早ければ今春から1年程度、整備や運用を担う米軍関係者100人超の駐留が見込まれるが、機数や部隊人数は9日も「決まっていない」とした。MQ9について防衛局は「エンジンはセスナ機などと同程度で、騒音は静粛なもの」と報告。事故などに伴う死傷者はいないが、海外では20年、燃料漏れや滑走路を外れるトラブルが2件あったという。