日本製鉄は君津地区(千葉県君津市)など全国7拠点で手がける再資源化事業で2022年度から順次、廃プラスチックの処理量を約2割増やす。自治体で回収したプラスチックを高密度化し、減容化する技術の開発にめどを付けた。プラスチック資源循環促進法の制定により一般廃棄物系プラの扱いも増えそうで、再資源化率100%という独自の処理手法を通じて事業を拡充する考えだ。
日本製鉄がめどを付けたのは、収集した廃プラを切断後に固形状にする際、高密度化する技術。減容成形機を改造して、狭い口から効率良く絞り出す技術と、絞り出す際の摩擦熱の温度を適切に制御できる技術だ。
同社はプラ容器包装リサイクル法に基づき20年以上の処理実績を持つ。20年度には約330自治体から落札し、前年度比横ばいの20万6000トンを処理した。回収する自治体の全体処理量の約3割に相当する。22年4月に施行されるプラ資源循環促進法では容器包装プラに加え、ハンガーやバケツなど製品プラスチックも自治体ルートで回収できるようになる。
廃プラの再資源化は、製鉄の還元剤であるコークスを作るコークス炉に、粒状化したプラを石炭とともに投入。熱分解処理をした後はコークスのほか、プラ原料となる炭化水素油、コークス炉ガスとして利用する。日鉄などが用いるケミカル方式はリサイクル率が85%以上とされる。
日鉄は室蘭、君津、名古屋、八幡、大分、鹿島、和歌山の全7拠点で廃プラの再資源化事業を展開中。廃プラの再資源化にはコークス生産に支障がないよう処理量を安定させる必要もあり、技術改良を地道に進めている。
政府は30年までに使い捨てプラを25%削減、容器包装プラの6割をリユース・リサイクルする目標を掲げる。容器包装プラの回収に参加する自治体は現在、全体の約7割にとどまる。プラ資源循環促進法の施行で、リサイクルの実効性がどれだけ上がるかが注目される。
日刊工業新聞2021年10月11日