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4コメント4件高速道路を自動運転の状態で走るホンダ・レジェンド。
スーパースポーツが好調な売り上げを見せる一方で、エンジン車の寿命が取り沙汰されるなど、振り返ってみればいろいろな動きがあった2021年。いま、クルマの世界はどうなっているのか、GQ取材班が報告する。【写真を見る】
2021年の話題のひとつが、世界で初めて自動運転レベル3を実現したホンダ・レジェンドが3月に発売されたことだ。自動運転と運転支援の違いは右のコラムを参照にしていただくとして、レジェンドの「トラフィックジャムパイロット」という機能は、ある条件を満たせば自動運転に移行する。自動運転を体験するために、まず高速道路に入った。そして前のクルマに付いていく機能と、ハンドル操作をアシストして車線をキープする機能をオンにする。ここで走行状況から、ハンドルから手を放しても大丈夫だとシステムが判断したらしく、ハンズオフ運転が可能になったことを音と表示で知らせた。おそるおそる手を放すと、レジェンドはカーブでもしっかりと曲がった。ハンドルさばきは丁寧で、これよりもっと荒っぽいタクシーだっている。ただしこの段階では、前を向いて周囲の安全を確認しなければならない。ここで渋滞にハマり、速度が30km/h以下に低下。すると「トラフィックジャムパイロット」が作動した。ここで、ドライバーは前を見るという義務から解放される。のんびりと、カーナビ画面でDVDを眺める。法的にはスマホ画面を見ることも許されるけれど、ホンダは推奨していない。渋滞が解消して速度が50km/h以上になると、今度は音と表示でドライバーが運転に戻ることが求められた。ここで運転に戻らないと、クルマは路肩に寄って自動停止する。なるほど、条件はあるものの確かに自動運転で、ここまで到達したのかと、ちょっとした感動を味わった。■自動運転のレベル/リード 最新モデルの多くに、先行車両の追従機能や車線維持をアシストする機能が備わるが、 ではどこからを自動運転と呼ぶのか。現時点での指標がこれだ。LEVEL 1 運転支援LEVEL0はすべての運転タスクをドライバーが担う。LEVEL1では、衝突の危険性があると判断すると介入する自動ブレーキや、前のクルマに追従する機能、それに車線からはみ出さない機能をシステムが担当することになる。ただし主体は運転者だ。LEVEL 2高度な運転支援LEVEL1の機能を組み合わせて、車線を維持しながら前のクルマに追従することなどができる。高速道路で遅いクルマを自動で追い越したり、高速道路の分岐や合流を自動で行うことができる。ただし主体は運転者で、周囲を確認する必要がある。LEVEL 3条件付き 自動運転自動運転の定義は、運転の主体がドライバーからシステムに移ることだ。LEVEL3では、高速道路や速度など、一定の条件を満たしたときに限って、システムがすべての運転タスクを担うことになる。ただし、求められたらすぐに運転に戻る必要がある。LEVEL 4特定条件下における完全自動運転限定されたエリア内においては、システムがすべての運転タスクを担い、完全自動運転となる。運転者はスマホをいじっても食事をしてもいい。想定されるのは、インフラが整備されてエリア内でのシャトルバスや、輸送車両として使われること。LEVEL 5完全自動運転文字通り、完全な自動運転。エリアなどの条件なしに、常にシステムがすべての運転タスクを担う。したがって運転者という概念はなくなり、乗降場所を指示するだけになる。操縦がなくなることから、ハンドルもブレーキもない車両になる可能性も。高速道路を自動運転の状態で走るホンダ・レジェンド。2020年4月に、前年に改正された道路交通法と道路運送車両法が施行され、世界に先がけて公道でのレベル3の自動運転が実現した。この画面はハンズオフ運転中のもの。ここから渋滞に差し掛かり、速度が低下すると自動運転になる。車体の各部に配置されるLiDAR(ライダー)が、レーザーで対象物の形状やそこまでの距離を計測する。自動運転の機能が搭載されていることを示すステッカー。今後、高速道路でスマホを眺めているドライバーがいたら、このステッカーの有無を確認することになる。高速道路を自動運転の状態で走るホンダ・レジェンド。2020年4月に、前年に改正された道路交通法と道路運送車両法が施行され、世界に先がけて公道でのレベル3の自動運転が実現した。■HONDA LEGEND2021年3月に、100台限定で販売開始となったLEGEND Hybrid EX・Honda SENSING Elite。自動運転機能が備わらない標準仕様と比べると、375万円ほど高価。ハイブリッドシステムなど、そのほかの機能は標準仕様と変わらない。販売方式はリース販売のみ。SPEC全長×全幅×全高:5030×1890×1480mmホイールベース:2850mm 車両重量:2030kgエンジン排気量:3471cc システム最高出力:382ps乗車定員:5名 価格:1100万円~■親子でLEVEL3を初体験!イラストレーター遠山晃司氏の手記「今回、初体験となったLEVEL3! 自動操縦自体が未経験の僕にとって正に未知の領域ではあったのですが、高速に乗って早速自動操縦スイッチをオンにしてみると、最新の技術力に驚かされました。自動操縦自体が初めてなのでその技術をなかなか信じることができずにすぐにハンドルを触りがちでしたが、コクピットに周りの車両の位置情報がグラフィックでライブ映像のように刻々と映し出されるその状況に、僕は次第に安心感を覚えました。そして気付いたら息子と手を繋いでLEVEL3を堪能してしまいました」■BMW 530iBMWは、5シリーズをはじめとする各モデルに「ハンズ・オフ・アシスト」を搭載している。これによって、高速道路や自動車専用道路などで渋滞に巻き込まれた場合、一定の条件下でアシスト・システムを起動すればハンズオフ運転ができる。SPEC全長×全幅×全高:4975×1870×1480mmホイールベース:2975mm 車両重量:1690kgエンジン排気量:1998cc 最高出力:252ps/5200rpm乗車定員:5名 価格:855万円~■SUBARU LEVORGステレオカメラを軸としたアイサイトで、いちはやく「ぶつからないクルマ」を打ち出したのがスバル。レヴォーグではアイサイト・アイサイトセイフティプラスに進化、右左折時や見通しの悪い場所の出会い頭の事故にも対応する。SPEC全長×全幅×全高:4045×1695×1505mm ホイールベース:2580mm 車両重量:1190kgエンジン排気量:1198cc 最高出力:82ps/6000rpm 乗車定員:5名 価格:202万9500円~■NISSAN NOTE日産は、スカイラインに「プロパイロット2.0」を搭載、高速道路でのハンズフリーを実現した。実用モデルのノートにも、ナビと連動する追従機能を搭載。手は放せないが地図情報を基に前のクルマに追従、スムーズにカーブを曲がる。SPEC 全長×全幅×全高:4045×1695×1505mm ホイールベース:2580mm 車両重量:1190kg エンジン排気量:1198cc 最高出力:82ps/6000rpm 乗車定員:5名 価格:202万9500円~■TOYOTA MIRAIトヨタは独自の高度運転支援技術「Toyota Teammate」を開発、燃料電池車であるMIRAIに搭載する。高速道路ではハンズオフが可能で、カーナビの地図データと連動することで、コーナー手前では曲率に合わせて滑らかに減速する。SPEC 全長×全幅×全高:4975×1885×1470mm ホイールベース:2920mm 車両重量:1930kg エンジン排気量:ー 最高出力:182ps 乗車定員:5名 価格:790万円~■自動運転は国策だ!内閣府が中心となって、科学技術の革新を進める国家プロジェクトSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)が、湾岸エリアで自動運転技術の実証実験を行っている。GQ取材班は、信号機やETCゲートからの情報配信によって自動運転を支援する模様や、ホンダ・レジェンドのLEVEL3走行を体験した。スマホもPCもテレビも競争力を失った日本にとって、自動運転は最後の砦かもしれない。Photos 望月浩彦 Hirohiko Mochizuki、菊池貴之 Takayuki Kikuchi、安井宏充 Hiromitsu Yasui@Weekend、田村 翔 Sho Tamura Illustlation 遠山晃司 Koji ToyamaWords サトータケシ Takeshi SatoSpecial Thanks SIP-adus試乗会事務局
最終更新:GQ JAPAN