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38コメント38件バイデン氏、「ロシアが侵攻の口実でっちあげを画策」 数日中の攻撃もあるとの見方
アメリカのジョー・バイデン大統領は17日、ロシアがウクライナに侵攻する口実をでっちあげ、数日中に攻撃を開始する準備をしていると述べた。一方で、外交で解決できる可能性はまだ残されていると強調した。バイデン氏は記者団に対し、「我々には、彼ら(ロシア)が侵攻の口実を得るために(攻撃を受けたと自作自演する)偽旗作戦を実行していると信じるに足る根拠がある」と語った。アントニー・ブリンケン米国務長官はその後、国連安全保障理事会で、ロシアがこうした動きの準備を進めていると述べた。一方のロシアは、そうした主張には「根拠がなく」、アメリカが緊張をあおっていると非難した。ロシアはかねてから、ウクライナ侵攻の計画はないと主張している。また15日には、ウクライナ国境付近に集結させている部隊の一部を撤収させていると発表した。だが西側諸国は、撤収の事実は確認できていないとしている。■「攻撃の自作自演も」ブリンケン米国務長官は国連安保理で、ウクライナを攻撃するための口実について、「ロシア国内でのいわゆる爆弾テロや、集団墓地の発見をでっちあげたり、民間人に対するドローン攻撃を自作自演したり、化学兵器を使った偽の、場合によっては本物の攻撃」などが考えられるとした。そして、こうしたことが行われた後、ロシア政府はおそらく、ウクライナ国内のロシア系民族保護に関する緊急会議を「芝居じみたかたちで招集」し、同国のミサイルや爆弾による攻撃と、サイバー攻撃が始まるだろうと指摘した。アメリカ側はこの根拠を示しておらず、ブリンケン氏はこうした主張を疑問視する人もいるだろうとした。「しかし、はっきりさせておきたい。私はきょう、戦争を始めるためではなく、戦争を回避するためにここにいる」と、同氏は述べた。ほかの西側諸国の首脳たちも、同様の懸念を示している。北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、ロシアが「武力攻撃の口実」をつくろうとしていると警告。イギリスのボリス・ジョンソン首相とリズ・トラス外相も、偽旗作戦が計画されていると主張した。■ウクライナ軍と反政府勢力が衝突ウクライナ東部では17日、ウクライナ軍とロシアの後ろ盾を受ける分離独立派が交戦し、緊張が高まった。同地域では停戦合意をよそに、たびたび衝突が起きている。17日の衝突については双方が非難し合っている。ウクライナ当局は、東部ルハンスク州スタニツィア・ルハンスカにある保育園が分離独立派に攻撃され、音楽室の壁が破壊されたとしている。この攻撃で大人3人が負傷したという。一方で反政府勢力は、ウクライナ軍が反政府勢力の支配地域の多くを砲撃し、事態をエスカレートさせたと非難した。また、ウクライナ国境付近の軍備強化をめぐっても、双方の主張は対立している。ロシアは軍事演習を終えた自国部隊の一部が拠点に戻りつつあるとし、戦車が鉄道で輸送されている様子の動画を証拠として公開している。しかし、アメリカをはじめとする西側諸国は、数千人規模の部隊が追加で集結しており、大幅な撤退を示す証拠はないと主張している。この主張は、衛星画像でも裏付けられている。衛星映像会社の米マクサー・テクノロジーズが今週撮影した画像では、ロシア軍がウクライナを北、東、南の三方から囲んだままであることが確認できる。ただ、これはロシアがウクライナに侵攻しようとしていると確実に証明するものではない。■ロシアがアメリカに回答ロシアはウクライナや西側諸国の指導者のあらゆる主張を否定している。17日には、交渉を提案したアメリカに正式に回答し、双方のミサイル施設の査察について議論することに前向きだと伝えた。一方で、国境付近でのNATO拡大という安全保障上の主要な懸念にアメリカが対処していないと指摘した。ロシアはウクライナのNATO加盟を認めないよう求めているが、アメリカとNATOはその可能性を排除していない。ロシアは、こうした問題に対処しない場合、「軍事技術的手段」で対抗する可能性があるとした。同日、ロシアは在ロシア米大使館のバート・ゴーマン次席公使を追放した。アメリカは外交上の緊張を悪化させる行為だとしている。こうした懸念はあるものの、ウクライナのドミトロ・クレバ外相は「外交は機能している」と述べた。「明日何が起こるかはわからないが」、平和を維持するため「我々は今日、最大限努力する」とクレバ氏は述べた。「どのような状況に対しても十分準備ができている」。(英語記事 Russia seeking excuse to invade Ukraine, US says)
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