【ワイヤレスプローブで大型三次元測定】ワイドエリアを測れるWMシリーズ/キーエンス | 建設通信新聞Digital

 キーエンスが開発・販売するワイドエリア三次元測定機「WMシリーズ」が、鉄骨部材などの寸法測定をデジタルトランスフォーメーション(DX)するツールとして注目されている。手持ちのワイヤレスプローブを自由に取り回せる革新的操作性により、数人で行うような大型部材の測定を1人で行うことができる。大幅な省人化や作業時間短縮を実現することから、鉄骨ファブリケーターや建設現場で導入が進んでいる。また同測定機の高精度な寸法測定、容易なデータ管理機能などを生かし、BIMを高度利用した生産効率や品質向上にも効果を発揮している。

 WMシリーズは、測定部である手持ちのプローブに設置した7つのマーカーが発する近赤外光をカメラで捉える新原理を採用し、プローブの位置や姿勢を追尾しながら対象物の寸法や平面度、角度などをXYZ座標で測定する。建設現場で利用する部材の寸法や溶接などで生じる平面のひずみ、建築鉄骨製品の内径、外径、径の中心位置などの測定に優れた効果を発揮する。

手持ちのプローブが発する近赤外光を追尾して高精度の三次元測定を行う

◆手元で測定値を確認しながら正確に測定 具体的には、三脚に設置したカメラユニットが赤外光を検知できる半径5m、直径10mの範囲内で、手持ちのプローブの先端部を測定したい位置に当て、寸法を測る。10mを超える大型構造物や死角が多い対象物も分割して計測し、データ統合して正確な数値を出すことができる。 プローブの先端には小型カメラも搭載し、測定する対象を撮影するほか、画像と3次元設計データを重ね合わせることも可能だ。合成した画像に測定位置の印を付け、トレーサビリティーを残すことができるほか、設計データと対象物の差分を色分けするカラーマップを作成し、一目で加工精度を確認する3DCAD比較機能を持つ。タッチパネルモニターも搭載し、測定値や画像を手元で確認しながら作業できるため、数値を見るためにその都度移動してパソコン画面を確認する必要がなくなり、業務が効率化する。 ソフトウェアも自社開発し、見やすい画像やアイコンで、誰もが親しみやく直感的な操作を 可能にした。測定した値をリアルタイムに確認できるほか、測定後に設計値を入力すればOK/NGを自動判定する。判定データから自動的に検査成績書を作成し、フォーマットも自由に編集できるため、書類作成の手間を大幅に軽減する。

プローブの先端部を当てて寸法、角度などを計測する

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◆1日がかりの検査 2時間程度に短縮

大型部材でも簡単に一人で測定する

 従来の部材の測定では、コンベックスや長尺ノギスなどのハンドツール、アーム型三次元測定機や門型三次元測定機など据置型の測定機を使用してきた。大型部材の寸法をコンベックスやノギスなどを使用して測定する場合、2、3人で対応する必要があり、アーム型、門型の三次元測定機を使用する際は測定できる形状や大きさが限られる上、建材を移動して測定機に設置する手間も大きい。 WMシリーズであれば、例えば柱1本の測定に2人1組で30-40分かけていた作業が、プローブの使用により1人で測定でき、所要時間も20分程度に縮小することができる。1日がかりで行っていた作業でも2時間程度で終わらせることが可能だ。測定値はデジタル化して共有できるため、対物検査のリモート化にもスムーズに対応するなど、大幅な作業の効率化を実現する。 具体的な事例として、同社メトロロジ事業部販売促進グループは「鉄骨製作工場では製作した部材はヤードに保管していくため、積み重なると検査に手間がかかる。WMシリーズを活用してスピーディーな測定を行い、積み上がる前に検査を終わらせることで作業を効率化できる」と説明する。

◆検査の信頼性向上技術継承にも効果 また、正確な測定結果をすぐに確認できるため、加工者が自分の作業の正確性を実感でき、自信を持って出荷できるようになるなど、仕事に対するモチベーションの向上に寄与している。対外的な信用度も向上し、ゼネコンや設計事務所の信頼獲得につながる効果もあるという。 さらに、技術継承にも貢献する。これまで加工技術は経験や勘で伝えることが多かったが、「WMシリーズは作業の成果を見た目や感覚ではなく、正確な数値ですぐに表現できるため、技術やノウハウを伝えやすくなった。付随するカメラ機能で画像も簡単に残せる」と説明する。 鉄骨造の建築物だけでなく、橋梁や桟橋などの部材を製造する鉄骨製造工場や、シールドトンネルのセグメントを製造する工場でも導入が進むなど、利用用途も着実に広がっている。 商品に関する問い合わせは、三次元測定機問合せ窓口・電話0120-761-701まで。

鉄骨部材製作のDXを推進することが期待される

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