のれんの裏を示す福田社長
IHクッキングと同じく、電磁誘導(IH)技術ではんだ付けの変革を進めるベンチャー企業が、紙や布にも載せられるようなフレキシブルなLEDデジタルサイネージ(FDS)を手掛けている。ワンダーフューチャーコーポレーション(WFC、東京都千代田区)。自動車や家電、アミューズメントなどに活用される可能性がある。 本社のフロアの一角には、光る「のれん」が飾られている。FDSを実装したもの。めくっても巻いても、全く問題なく模様が光る。「これを使えば、光って動き、かつ『張り替え』自由なポスターも作れます」(福田光樹社長)。例えば、電柱にポスターのように張り付け、普段は標識やポスターに使い、非常時は災害情報を流す、といった用途も考えられる。
のれんを使ったFDSが光る
WFCはもともと、3D樹脂製タッチパネルを開発する研究開発型ベンチャー。インキ製造技術に優れたサカタインクスや、電子機器の受託製造で強みを持つシークスとの3社で協業、ものづくりを進めている。従来のような熱などが不要なはんだ付け技術を探る中で、IHに着目。電流をコイルに流すことで発生する磁束線を使い、金属を発熱させる技術に取り組む。 FDSは、その適用の一環で開発された。世界最薄・最軽量級、フレキシブルで透過性もある。当初、デモ的な取り組みで、紙や布といった、電子部品の実装が不可能と思われている基材にLEDを載せることに成功した。これを入り口に、新市場を創造し、ものづくり現場を変えていきたいと福田社長は意気込む。 WFCの取り組みは、10月にあった「電子機器トータルソリューション展」でJPCA奨励賞も受けた。
電波新聞社 メディア事業本部 報道部