アマゾンの音声アシスタント「Alexa」とスマートディスプレイ「Echo Show」を組み合わせて、そこに人工知能(AI)を搭載する。さらに「Ring」のホームセキュリティシステムと統合して自律的に家の中を動き回らせると、何が生まれるだろうか。ロボットであることが目的のロボットである。
それは実際のところ、長らく噂されていたアマゾンの家庭用ロボット「Astro」のことだ。アマゾンは4年近く前から家庭用ロボットの開発に取り組み、Astroの計画を進めてきた。
しかし、Astroに何をさせるべきなのかまだはっきりしていないことから、まずは招待制で販売することにしている。数千人の早期購入ユーザーの助けを借りながら、Astroの使い道を明確にしていこうというわけだ。
高さ2フィート(約60cm)、重さ20ポンド(約9kg)のこのロボットは、10インチのタッチスクリーンと数々のセンサー、カメラ、マイクを搭載しており、家の中を自在に動き回れる。価格は999.99ドル(約11万円)だ。
Astroはロボットの分野におけるアマゾンの本気度を示している。ロボット工学の分野においてアマゾンは、物流倉庫のネットワークを構築する一環として、何年も前から相当な額を投資してきたのだ。さらにAstroは、アマゾンがどれだけ本気で自社のデヴァイスとサーヴィスを家庭の隅々まで行き渡らせようとしているのかも示している。
だが、Astroは愛らしいとはいえ、少なくともいまのところは目的のないロボットだ。アマゾンのハードウェアの責任者であるデイヴ・リンプは『WIRED』US版の取材に対し、高齢者の介護やホームセキュリティといった考えられる用途をいくつか挙げている。しかし、究極的にはAstroをユーザーのもとに送り込むことで「このロボットならではの用途」を見つけ出したいのだと、リンプは言う。
用途のはっきりしないロボット
Astroの“頭脳”にはクアルコム製のチップふたつが採用されており、チップセットにはAIの処理システムが組み込まれている。OSは「Fire OS」とLinuxを基本とする。モーターは十分なパワーを発揮できるように5つ搭載されており、背中に(重量が5ポンド=約2.2kg以下の)小さな荷物を載せて運ぶことができる。
“顔”の部分は何の変哲もないタブレット端末のようになっているが、画面をスワイプまたはタップしてコマンドを入力したり、音声コントロールを使わずにヴィデオチャットしたりできる。Astroの“眼”もここにある。この眼は、わたしたちが慣れ親しんでいる冷ややかなガラスの画面よりも生き生きした印象を与えることを意図したものだ。Astroは音声アシスタントのAlexaにも対応しているので、くだらないジョークを存分に楽しむこともできる。
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アマゾンによるロボットの開発に関する初期の報道では、ロボット掃除機のようなものになるとされていた。実際のところAstroの機能は、家の中を掃除できないことを除けば的外れでもない。それにバッテリーで作動し、残量が少なくなると充電用のドックへと戻っていく。