50年ぶりの「OM-1」は王道進化を遂げたOM-Dだった

これが21世紀のOM-1。3月発売で直販価格はボディのみで27万2800円(税込)

50年ぶりの「OM-1」は王道進化を遂げたOM-Dだった

オリンパスからデジタルイメージング部門が切り離され、OMデジタルソリューションズという新会社になって1年。とうとう新会社初のフラッグシップモデルが発表されたのである。OLYMPUSのロゴが入る最後のカメラになるといわれている「OM SYSTEM OM-1」だ。立場としては「E-M1 Mark III」の後継機になるわけだが、新会社としての第1弾であり、1972年に初代OM-1(当初はM-1)が登場してから50周年という節目に再び「OM-1」を復活させたのである。まあ、1972年に発売されたのはOM-1じゃなくてM-1であり、OM-1に名前を変えたのはその翌年だったとか、ちょっとややこしいところはあるけど、それはまあいいや。新ブランド「OM SYSTEM」のOM-1なのだけど、ボディにはまだ「OLYMPUS」と入ってるのもちょっとツッコミたくなるけどそれもまあいい。シリーズの継続ってことを考えるといきなりそこを変えちゃうのも難しかったろうし。

OM-1は基本性能をぐぐっと強化してきたフラッグシップ機

そんなOM-1をほんのちょっとだけ触る機会を得たので、そのリポートだ。OM-1はマイクロフォーサーズマウントを採用したミラーレス一眼のフラッグシップ機だ。基本デザインはE-M1 Mark IIIを継承しつつ、E-M1 Xの要素も取り入れ、ちょっと全体になだらかにした感じだ。おでこにはOLYMPUSのロゴ、OM SYSTEMのロゴは右下に入っている。グリップは深くなり、シャッターボタンの角度やダイヤルの位置が「E-M1 X」を継承する形となった。細かい事だけど、左肩のボタンが凹型になったり、後ろ電子ダイヤルのデザインも変わったりもしてる。サイズ感はE-M1 Mark IIIと変わらないが、グリップしやすくなり、レスポンスもよく快適に使えそうだ。でも問題は中身だよね、ってことでその重要なポイントをまとめてみた。

1)イメージセンサーが完全に新しくなった

何より大事なのはこれ。イメージセンサーがフルリニューアルした。画素数こそ増えてないが(2037万画素)、シリーズ初の「裏面照射積層型センサー」になったのである。積層型センサーはもはや珍しくないが、マイクロフォーサーズでは(たぶん)初の採用だ。この型の特徴は、画素サイズをギリギリまで大きくできることと信号の読み出し速度を速くできること。前者は画質に効いてくる。従来のE-M1シリーズは高感度時の画質がデジタル一眼としてはいまひとつだったが、実用ISO感度がISO6400からISO25600まで上がり、さらにダイナミックレンジも1段分広くなったのだ。この辺はレビューで実際に撮ってみる予定だが、画素数を増やす方向ではなく、高感度時の画質やダイナミックレンジを優先したのはよい選択だ。一方の信号の読み出し速度は電子シャッター撮影時にすごく効いてくる。高速に動く被写体を撮ったときの歪みがぐっと小さくなるのだ。製品レビュー時にちゃんとチェックしたい。もう1つ、新しく「クアッドピクセル構造」になった。デュアルピクセルのクアッド版のようなもので、これにより縦横両方向で位相差情報を取得。1053点でカバー率100%のAFを達成。要するにAF性能が上がったのだ。

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