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JALとKDDIなどによる実証実験で隅田川を渡り目的地に到着するドローン=22年2月16日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ドローンで運ばれた医薬品が入ったコンテナを聖路加病院のスタッフ(左)に手渡すJALのスタッフ=22年2月16日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
日本航空(JAL/JL、9201)とKDDI(9433)、医薬品卸のメディセオ(東京・中央区)、聖路加国際病院(東京・中央区)の4者は2月16日、隅田川に架かる永代橋など3つの大きな橋の上空をドローンで通過する医薬品配送の実証実験を報道関係者に公開した。【隅田川上空を飛び医薬品を運ぶドローン】 政府は2022年度に「レベル4」と呼ばれるドローンの有人地帯での目視外飛行の実現を目指しており、今回の実験はこれを見据えたもの。ドローンはACSL(6232)製ACSL-PF2を使用し、隅田川大橋そばのメディセオ新東京ビル(江東区佐賀)から佃大橋付近の聖路加病院まで、隅田川上空約2キロを永代橋、中央大橋、佃大橋の上空を、約20キロの速さで約10分間飛行して向かった。 今回の実験は、ドローンの飛行を人が監視する「補助者あり目視外」の飛行方法「レベル2」で実施。26人の補助者が橋などに配置され、橋を渡る人がいる場合はドローンを上空でホバリングさせて待機し、安全確認後に橋の上空を飛行した。8日から10日にかけて実施し、15日と16日を予備日とした。 実験では国が定める「ドローンによる医薬品配送に関するガイドライン」に基づき、配送中の温度変化や固定状況を検証し、1機のドローンで1日当たり何回配送できるかや、発注から納品までの所要時間などを調べた。9日の場合、7.5往復飛行し、8日からの3日間で10往復以上飛んだ。将来的には補助者なしでも安全性を確保できるようにし、レベル4実現を目指す。 JALはこれまで、人口集中地区である兵庫県洲本市で医薬品配送を想定した実証実験を実施済みで、メディセオとドローンを活用した医薬品輸送を共同で検討してきた。平時に加えて緊急時や災害時の医薬品配送などを念頭に実験を進める。 今回使用したドローンのACSL-PF2は、大きさが幅1173mm、高さ526mmで、搭載可能な荷物は2.75kg。最大35分飛行でき、秒速10mの風まで耐えられる。 JALのデジタルイノベーション本部エアモビリティ創造部の田中秀治マネジャーは「医薬品配送という少量で多頻度運航を行うには非常にうってつけの機体サイズだと思う。ほかの用途では、もう少しスピードや重いものを運びたい、もう少し長い距離を運びたいという声は当然あると思うので、いろいろな機材のポートフォリオを組み合わせながら、いろいろな用途に対応できる体制を構築したい」と語った。JALでは、すでに長崎県内で五島列島から佐世保市へ鮮魚を運ぶなどの実証実験を実施済みだという。 聖路加病院薬剤部の後藤一美部長は「高額な薬や、緊急性があったり、常時使われない薬を限られたスペースに保管するよりも、ドローンで運ぶことでロスを減らすことにつながる」として、成長ホルモンや血友病の薬など常備するよりも必要に応じて用意できる体制を構築することが、緊急時の医薬品搬送以外にドローンを活用する用途として考えられるという。 今回の実証実験は東京都に採択された「東京都におけるドローン物流プラットフォーム社会実装プロジェクト」として実施され、都内初の試みとなった。同プロジェクトはJALとKDDIのほか、ウェザーニューズ(4825)、テラドローン(渋谷区)、JR東日本(9020)も同じグループとして参加しており、各企業がさまざまな物流用途の実証実験を進めている。
Tadayuki YOSHIKAWA
最終更新:Aviation Wire