配信
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温かい湯船につかる穂波(小川紗良)
大きな湯船につかって、居合わせた人たちと世間話に興じて――。家風呂の普及で減っている街の銭湯に、癒やしの空間としての魅力を感じる若い世代が増えています。銭湯を愛する若い女性と人々の交流を描く連続ドラマ「湯あがりスケッチ」の配信が、動画配信サービス「ひかりTV」で始まりました。モチーフとなったのは、ある女性の実際の体験でした。(文化部 待田晋哉)
ひかりTV「湯あがりスケッチ」…“中間領域”の大切さ
中川龍太郎さん
「銭湯とは、家の外にあるのに、裸になって湯水をともにしている。家のような『内』でもなく、完全に『外』でもない。『中間』のような存在です。現代社会は、職場や学校などの『外』と、家のような『内』の世界が完全に分かれている。中間的な領域としての銭湯。場としてのあいまいさが、社会の精神衛生の上でとても大切な気がします」
監督や脚本を手掛けた中川龍太郎さん(32)は語ります。岸井ゆきの、浜辺美波が出演し、震災のテーマを扱う話題の映画「やがて海へと届く」も4月に公開される気鋭として知られます。
物語の主人公は、仕事に追われて自分を見失いかけた28歳の穂波(小川紗良)です。ふとしたきっかけから銭湯に通い始め、番頭として働きながら、建物の様子をスケッチするようになる姿を描きます。
穂波は銭湯のスケッチに熱中するようになる
東京・高円寺の「小杉湯」、東上野にある露天風呂が有名な「寿湯」など、実際の銭湯を使ってロケをしました。少し懐かしい雰囲気のタイル張りの浴槽で、穂波がゆっくりと足を伸ばすうち、近くにいた年上の女性と話を始める場面もあります。
「ドラマを見ていいなと思ったら、見た人が実際に行けるようにしたかったんです。撮影の苦労ですか……カメラが湯気で曇ることはなかったですけど(笑)、銭湯の営業が終わった後などに撮るので、午前0時集合、午前1時撮影開始などということもあって」
「ドラマの内容上、女性が入浴する場面も撮ることになります。でも、顔ばかり映すなど不自然にしたくありませんでした。エキストラの人を含めて、自然に体が映るように心掛けました。裸の映り方を神経質にチェックすると、映像も小さくなってしまう。銭湯のドラマです。だらっと気楽に、心地よく見てほしい」
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最終更新:読売新聞オンライン