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親指の形をした高感度のセンサー
ドイツのMax Planck Institute for Intelligent Systemsの研究チームが開発した「A soft thumb-sized vision-based sensor with accurate all-round force perception」は、接触される場所と加えられる力の方向や大きさを深層学習で精密に推定するソフトな親指型センサーだ。軽く触られた際でも、内部に設置したカメラで高感度に検知する。【画像】親指センサーに触れると力の分布マップを継続的に提供する 提案する親指の形をしたセンサーは、軽くて硬い骨格の周りに柔らかいシェルが組み合わせてできている。直径は40mm、高さは70mm。エラストマーに暗色で反射率の高いアルミフレークを混ぜたシェルは、グレーがかった不透明な色をしており、外部からの光の侵入を防いでいる。 親指センサーの内部には、視野角160度の小さな魚眼レンズが備わったカメラ(Raspberry Piカメラモジュールの解像度は1640×1232、フレームレートは40fps)が1台入っており、LEDライトで照らしてカラフルな画像を記録する。カメラは1秒間に何度も画像を記録し、そのデータを深層学習ネットワークに送る。 学習したモデルは、送られてきたデータからセンサー内部のわずかなカラーパターンの変化を検出する。どこに接触しているか、力の強さはどの程度か、力の方向はどこかなどを即座に割り出し、センシング面全体に方向性のある力の分布マップを継続的に提供する。 精度実験を行った結果、0.4mmの空間分解能、力の大きさの精度は0.03~2N程度、力の方向の精度は5度を持ち、接触面積が異なる多数の接触についても同時に測定することができた。 この親指センサーはこれまでの触覚センサーと違い、高い感度と精度でありながら、1台のカメラと簡単な製造技術で実装できる手軽さと100ドル以下の低価格で作成できることを魅力に挙げている。そのためハードウェアもソフトウェアも容易に各種ロボットに適応可能だという。Source and Image Credits: Sun, H., Kuchenbecker, K.J. & Martius, G. A soft thumb-sized vision-based sensor with accurate all-round force perception. Nat Mach Intell 4, 135-145 (2022). https://doi.org/10.1038/s42256-021-00439-3 ※テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
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最終更新:ITmedia NEWS