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F・マリノスのパスワークが手詰まりに
F・マリノスは前田大然(右から2番目)のゴールで、何とかベルマーレに勝利 photo/Getty Images
2021年の明治安田生命J1リーグで2位につける横浜F・マリノスは、10月1日の同リーグ第31節で湘南ベルマーレと対戦。ベルマーレの堅守に手を焼いたものの、途中出場のFW仲川輝人が66分に相手DF石原広教とのルーズボールの奪い合いを制し、敵陣右サイドを突破。ペナルティエリア中央へクロスを送り、FW前田大然のゴールをアシストした。このゴールが決勝点となり、F・マリノスが1-0で勝利している。F・マリノスの苦戦の原因は、チアゴ・マルチンスと岩田智輝の2センターバックから喜田拓也と扇原貴宏の2ボランチへのパスコースを、ベルマーレ陣営に塞がれたこと。[5-3-2]の守備隊形を敷いたベルマーレは、町野修斗とウェリントンの2トップがF・マリノスの2ボランチを捕捉。小池龍太とティーラトンの両サイドバックが攻撃時に中盤の中央へ移動し、センターバックからのパスを引き出そうとしたが、彼らもベルマーレの左右のインサイドハーフ(山田直輝、茨田陽生)のマークに晒されたため、F・マリノスは中央突破がままならず。攻撃はサイドからに限定された。F・マリノスのケヴィン・マスカット監督は試合後のオンライン会見で、自軍の攻撃について言及。テクニカルエリアで戦況を見つめながら、敵陣におけるパスワークのクオリティ不足を感じていたようだ。─片方のサイドでショートパスを繋ぎ続ける場面が多く、ベルマーレの3セントラルMFを揺さぶるロングパスが少なかったように見受けられました。これが、F・マリノスの攻撃のテンポが上がらなかった要因の一つだと感じたのですが、いかがでしょうか。「フェアな質問だと思います。自分たちでチャンスを作り出し、相手ゴールに向かうことが、今日はなかなか出来ませんでした。自分たちで、自分たちを難しい状況にしてしまいましたね。ボールを失わずに、パスを回せる場面もありましたが、それはもっと前の位置(敵陣)でやりたかった。もちろん、湘南が中を閉じ、陣形をコンパクトにして守っていたので、崩すのが難しかったのも事実です。今のご指摘も含め、自分たちも問題を認識していますし、自分たちらしさを出せるように、次の試合にむけて修正していきたいです」この日のF・マリノスとは対照的に、先月26日のリーグ戦でベルマーレと対戦した川崎フロンターレは、[5-3-2]の守備ブロックを巧みに崩している。後半から[4-1-2-3]の布陣を敷いた同クラブは、インサイドハーフの脇坂泰斗が65分に敵陣左サイドからロングパスを放ち、ベルマーレの3セントラルMFがいない逆サイドへボールを届けることに成功。右サイドでボールを受けたDF山根視来がペナルティエリアへクロスを送ると、これが旗手怜央の同点ゴールに繋がった。後半アディショナルタイムにも、3セントラルMFでは埋めづらい逆サイドのスペースでMF家長昭博がボールを受け、同選手のクロスからFW知念慶が決勝ゴールをゲット。フロンターレとしては、片方のサイドでのパスワークに固執せず、サイドチェンジのパスを織り交ぜたことが功を奏した。ベルマーレの守備隊形の弱点をふまえ、効果的なパスワークから2ゴールを奪った首位のフロンターレと、片方のサイドでのパスワークに固執したことで攻めあぐねた2位F・マリノス。両者を比べると、攻撃のバリエーションに差があるように思える。石原のルーズボールの処理ミスに仲川が付け込んだことで、何とか1ゴールを奪ったF・マリノスだが、ベルマーレの守備隊形をパスワークで崩した場面は、ほぼ無かった。 今後も対戦相手に中央のレーンを埋められ、サイドからの攻めを余儀なくされることも想定されるだけに、F・マリノスとしては逆転優勝に向け、サイドチェンジのパスを織り交ぜた攻撃も磨き上げたいところだろう。
構成/ザ・ワールド編集部
最終更新:theWORLD(ザ・ワールドWeb)