うなぎの生態はなぜあまり知られていないの?身近なのに知らないことが多い魚 | ガジェット通信 GetNews

「土用の丑の日」にうなぎを食べるという習慣がありますが、実はうなぎについて知られていないことも多いです。事実、生態などは解明されていない部分もあります。

そこで、ここでは意外と身近なのに知られていないうなぎという生き物についてご紹介します!

うなぎとは

うなぎは、ウナギ科ウナギ属に分類される魚類で、世界中に生息している生き物です。

熱帯から温帯という環境に適合し、実は川・湖・海で生きていくことができます。そんなうなぎについて、どのような魚類なのかまとめてみました。

うなぎは世界にどれくらいいるのでしょうか?

世界にはヨーロッパウナギやアメリカウナギなど19種類がいるといわれていて、その中で食用とされているのが4種類ほどだそうです。

「うなぎ」と名の付くものの中には、デンキウナギやフウセンウナギ、タウナギなど、うなぎではないのにうなぎという名前が付けられている生き物もいます。

これらはうなぎの細長い見た目に由来していますが、分類学上は別グループの生き物です。

日本には、ニホンウナギとオオウナギの2種類が在来種として存在しています。その他、近年は放流されたヨーロッパウナギも外来種ではありますが生息しています。

ヌタウナギやヤツメウナギも”うなぎ”という名前が付けられていますが、これらはまた別の分類の生き物になります。

珍しい生態

うなぎの突出すべき点は、その生態にあります。

近年になってからようやく判明した事実も数多くあるので、ここではうなぎが持つ未知の生態についてご紹介します。

今までは研究もそこまで進められなかったため、詳しい生態については詳細不明だったのが、うなぎという生き物です。

そんな中、近年になってうなぎの生態が徐々に判明していき、注目されるようになりました。

うなぎは河降回遊魚と呼ばれる魚類で、川や湖で成長してから海に降りて産卵するという習性を持っています。

うなぎの生態はなぜあまり知られていないの?身近なのに知らないことが多い魚 | ガジェット通信 GetNews

これは世界で見ても、とても珍しい生態と言えます。だからこそ、より注目が集まっているわけですね。

事実、海で生まれたうなぎは、川や湖などの淡水域に移動して数年間過ごし、また産卵場所を決めるために海へと降りていくという、ライフサイクルで子孫を繁栄させているそうです。

サケやアユのように逆に海で成長してから故郷に戻って産卵するという生態の魚は結構いるのですが、うなぎはその逆という珍しい生態を持っています。

あまり有名ではないのですが、実はうなぎは非常に嗅覚が優れた魚で、臭いで獲物を感知しています。

その嗅覚は犬にも匹敵し、成分によっては犬を凌駕するほどの嗅覚の持ち主なんです!

そう考えると、ウナギイヌという一見何のつながりもない2つの生物をくっつけただけだと思われがちなキャラクターは、実は嗅覚繋がりで究極の嗅覚の持ち主として生まれたのかもしれませんね。

産卵場所が謎だった

元々うなぎは、産卵場所が不明でした。川や湖で見かけることはあるのに、産卵している姿を見た人がほとんどいなかったそうです。

サケなどとは違い、海で産卵するため場所の特定が難しかったようです。それが近年の研究でようやく解明されてきました。

世界の19種のうなぎのうち、産卵場所が判明しているのは約半数で、他は未だに詳細な産卵場所は判明していないそうです。

産卵場所が判明したのは最近のことで、1991年にマリアナ沖で孵化することが調査により判明しました。

産卵に関しては、2005年に西マリアナ海嶺のスルガ海山西方の海域で判明しました。

そして、実際にその海域で世界で初めて卵の採集が行われたのは2009年のことでした。つまり、判明したのは最近だと言えますね。

そこからミンダナオ海流や北赤道海流に乗って東アジアで成長し、さらに黒潮に乗って日本に戻ってくるようです。

昔から日本で食べられているニホンウナギですが、産卵場所など様々な生態が判明してきたのはすごく最近のことなのです!

完全養殖が難しい

市場に出回っている養殖うなぎも多いですが、完全養殖されたものではありません。実はうなぎは完全養殖がとても難しい生き物でもあるのです。

日本に出回っている、食用うなぎの99%以上は養殖です。ただ、これは完全養殖ではありません。

本来の完全養殖は卵の孵化から行わなくてはならないのですが、うなぎは海で産卵するために完全養殖をするのがかなり大変だといわれています。

では、どのような方法で養殖しているのかというと、基本的にはうなぎの稚魚であるシラスウナギを仕入れて養殖池に放ち、それらの養殖場で大きく育てから出荷するというのが主流となっています。

養殖研究の分野で有名な近畿大学ですが、クロマグロの完全養殖したことも話題になりましたね。そして、2019年にはうなぎの完全養殖に成功しています。

しかし、養殖にかかるコストがあまりにも高すぎるため、完全養殖うなぎの販売はまだ現実的ではありません。

販売した場合は天然のうなぎの10倍以上の価格になってしまうそうです。

まとめ

うなぎは生態もまだまだ未知の部分が多く、ようやく近年になって産卵場所が特定され始めました。ただ、わかっていない生態もまだあり、日夜研究が進められています。

特にニホンウナギは現在絶滅危惧種に指定されており、このままではうなぎを食べることが出来なくなってしまいかねません。

そうならないためにも、うなぎの完全養殖などの確立に期待が込められますね!