スクウェア・エニックスは『ブレイブリー』シリーズ10周年を記念し、スマホ向け最新作『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』(以下、『ブリリアントライツ』)を発表し、先日事前登録も開始された。
今回は、本作のプロデューサーであり、『ブレイブリーデフォルト フェアリーズエフェクト』では運営プロデューサーを務めた小松陽平氏と、『ブレイブリーデフォルトII』プロデューサーであり、本作の監修に携わっている髙橋真志氏のインタビューを実施。
本作の開発経緯や、これまでの『ブレイブリー』シリーズ作品とのつながりなど、気になるゲーム情報をお伺いした。
▲小松氏(写真左)と髙橋氏(写真右)。
アニエスやアデルも登場!重厚な世界観で描かれる『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』をCBTリポート |
――先日クローズドβテストを終え、いよいよ事前登録も始まった『ブリリアントライツ』ですが、そもそも開発はいつ頃から動き出したのでしょうか。
小松陽平氏(以下、小松)動き出しは2018年の夏頃でした。最初は10周年だからというよりも、『ブレイブリーデフォルトII』の開発にあたり、コンソールとモバイル一体でシリーズを盛り上げていこうと企画されたのが『ブリリアントライツ』でした。
髙橋真志氏(以下、髙橋)『ブレイブリーデフォルト』が2012年発売で10年、2015年発売の『ブレイブリーセカンド』からも7年と、随分時間が経ってしまったんですよね。『オクトパストラベラー』の開発にシフトしたこともあり、このまま『ブレイブリー』シリーズは終えてしまう可能性もあったんです。
でも、小松さんたちが『ブレイブリーデフォルト フェアリーズエフェクト』(以下『フェアリーズエフェクト』)を成功させてくれました。そのおかげで、まだこんなにもたくさんのお客さんが待ってくださっているんだということが伝わり、社内からも「作ったら」と言ってもらえるようになり、『ブレイブリーデフォルトII』が始動したんです。そして、このリソースをうまく使って、また『フェアリーズエフェクト』のようなゲームを作れないかと考えたのが『ブリリアントライツ』始動のきっかけでした。
――『ブレイブリーデフォルトII』と『ブリリアントライツ』の開発が同時に進んでいたということは、『ブレイブリーデフォルトII』の動きを見ながら作っていた感じでしょうか?
小松『ブリリアントライツ』は最初からスピンオフ的な立ち位置としてシリーズを盛り上げる一助になれればという目的で動き出したので、『ブレイブリーデフォルトII』と合わせるとか、逆に別の方向性にするとかはあまり意識してはいませんでしたね。
――あまり意識せずに、お互いにいいものを作っていくという形ですね。
髙橋そうですね。並行して開発していることもあって、振り回されてしまうのもよくないと思いました。当時、同じスマホゲームの『オクトパストラベラー 大陸の覇者』で好評を得ていたので、『ブリリアントライツ』も『ブレイブリーデフォルトII』に続く、もしくは準じる話にしようといったアイデアも出ていたのですが、過去作を遊んでいないと分からない作品にはしたくなかったんです。
けれど、『ブレイブリーデフォルトII』が出て喜んでいただけた一方で、前作のキャラが出ないことにがっかりするファンの方もいると思ったので、『ブレイブリーデフォルトII』含め、『ブレイブリーデフォルト』や『ブレイブリーセカンド』ほか派生タイトルも含めて、オールスターのゲームとして遊べたらいいなと思い、『ブリリアントライツ』の方向性が決まりました。
小松シリーズが10周年を迎えるので、その集大成を表現できる形としても、オールスターがふさわしいのではないかと思いました。
――10周年の記念タイトルとして動き出してからは、オールスター作品ということのほかに、どういう部分を意識して開発しようと思いましたか?
小松『フェアリーズエフェクト』は、『ブレイブリー』の世界観でMMO的なソーシャル要素やユニークなバトルシステムを入れて、今までのシリーズとは違う遊びを作った作品でした。そこが好評でもありましたが、今回は10周年記念の立ち位置として、より一層ファンの皆様に愛されるように、シリーズらしさを盛り込んだ内容にしたいなと考えました。
そこでファンの方が待ち望んでいる原作体験と言いましょうか、『ブレイブリーデフォルト』の原点に近いバトルシステムやカメラワークなどを採用しつつ、ティズやアニエスといった過去作のキャラクターにハイクオリティなグラフィックで会えるというところで、『フェアリーズエフェクト』と差別化を図りました。
▲シリーズお馴染みの“ブレイブ&デフォルト”システム。
――『ブリリアントライツ』のタイトルに込められた意味をお伺いできますでしょうか。
小松これまでのシリーズには4つのクリスタルが関わってきますが、今回は倍の8個。各大陸を巡ってクリスタルの輝きを集めていきます。クリスタルの輝きが、いままで以上に、より強い光を放つ様を表現する意味合いで『ブリリアントライツ』というタイトルに決めました。
また、ビジュアルの豪華さ、オールスターなので絵面としても豪華なものになると思っているので、“Brilliant=華々しい”という意味で“ブリリアントライツ”がピッタリじゃないかと思い、名付けました。
――8つの世界を旅する物語ですね。
小松ヴェルメリオ大陸、ルクセンダルク、エクシラント大陸の3つの大陸を舞台にクリスタルの輝きを集める話なんですけど、旅立つ世界の時間軸がそれぞれ違います。昔のルクセンダルクが出てくるとか、そういう時間軸の違いもすべてカウントして8つの世界を旅していきます。
また、これまでのシリーズででてこなかった、たとえばヴィクターやエインフェリアの子ども時代を描く予定もあったりします。過去のルクセンダルクでの姿は、本作でしか見られないので、ファンの方たちにとっても貴重な体験になると思います。
髙橋ヴィクターとかエインフェリアの昔の時代の姿が見られるのは、すごく感動しました。『ブレイブリーデフォルト』発売から10年も経つので、親心みたいなものを感じちゃって(笑)。
――逆にエンディングの後の世界が登場する可能性も?
小松『ブレイブリーセカンド』の後は触れていないです。未来は今後のシリーズ作品にも影響を及ぼす可能性があるので、いまのところは過去に飛ぶようにしています。
――オールスターということですが、主人公4人は新キャラクターとして登場します。この主人公たちについて詳しく教えてください。
小松主人公の4人に関しては、本作オリジナルの世界からふたりと、『ブレイブリーデフォルト』の世界であるルクセンダルクからひとり、『ブレイブリーデフォルトII』の世界であるエクシラント大陸からひとりという形で、新たな4人で構成されています。
『ブリリアントライツ』は、まだ『ブレイブリー』シリーズをプレイしたことのない新規の方たちにも楽しんでもらいたいため、この4人の主人公たちが、それぞれにとって未知の世界があるという状況で互いに情報を補い合うことができる関係性を作り出すことによって、プレイヤーも新たな主人公たちといっしょに、『ブレイブリー』シリーズの世界を学べるようにしています。
各キャラを簡単に説明すると、クレアは錬金学を学ぶこの世界の住人なんですが、どこかティズを思わせるような、掴みどころのない女の子です。スティールはクールで、盗みを働く小悪党なんですけど、人殺しをするような完全悪ではありません。
ルーファスは『II』の世界からきた、魔法学を学ぶ来訪者。持ち前の知性、冷静さでチームのまとめ役をやってくれます。サンドラは『ブレイブリーデフォルト』のルクセンダルクから来たキャラクターで、もともと騎士団に所属していた、騎士道を重んじる姉御キャラです。
これまでの『ブレイブリー』シリーズの作品のように、主人公一行は、バランスのいい4人組になったと手応えを感じています。
▲それぞれの世界から集まった個性的な4人。
――男ふたり、女ふたりの4人組も最初から決まっていたのですか?
小松そうですね。そこはこれまでのシリーズと同じ構成にして、シリーズらしさと言いますか、ファンの方たちに感じてもらえるものがあったらいいなと思いました。
――キャラクターに関して、髙橋さんは監修をされましたか。
高橋基本的にはフリー・トゥ・プレイに関しては素人も同然なので、“船頭多くして船山に上る”と言いますけど、「こうしたいんだ」と主張する人が複数人になってしまうとゲームのコンセプトがブレそうだったので、自分からは強い要望は出していないです。自由に作っていいよ、とお願いした気がします。
小松そうですね。キャラクターまわりはこちらで設定を決めて、髙橋さんにチェックしていただきました。髙橋さんからは特にストーリーについて、プレイヤー側の視点で、読み手が迷子にならないような導入部分の作り方や整理の仕方について学ぶことが多く、とても良いアドバイスをいただきました。
髙橋そんな大層なものはないですよ(苦笑)。
小松またまた(笑)。ストーリーの導入部分に関しては髙橋さんのアイデアをほぼそのままいただいています。『ブレイブリー』シリーズのファンの人たちのことはもちろん、本作で特に気をつけている、これからシリーズを知る人たちのこともしっかり考えたうえで、適切な意見を言っていただけたのでとても参考になりました。とくに今回、クロスオーバーということで最初の導入部分で情報が渋滞するんです。整理するのがたいへんです。
髙橋そうですよね。知るべきことはもっとちゃんと説明して欲しいし、知らなくても大丈夫な情報は無理に最初に入れなくても、という話をしました。今回は複数の世界が登場するので、ただでさえ説明することが多いですし。
小松物語冒頭から“来訪者”といってほかの世界から新しい大陸に人が飛んでくる話になっていますが、そのあたりの急な展開を髙橋さんに相談しつつユーザーに寄り添った、分かりやすい導入部分に変えていきました。
▲コンシューマーの系譜ならではの厚みのある世界観は、もちろんシリーズ未体験のプレイヤーでも楽しめる。
――オリジナル部分の世界観やシナリオに関しては、網代(恵一)さんが携わっているのでしょうか?
小松はい。今回も『フェアリーズエフェクト』に続き、シナリオなどは網代さんにお願いしていますので、『ブレイブリーデフォルト』らしさが出ていると思います。
――歴代の『ブレイブリーデフォルト』のキャラクターは、どのような立ち位置や状態で登場するのでしょうか?
小松ifストーリーとはいえ、原作と不整合が出るとファンの方にとって不快な作品になってしまうので、キャラクターごとに特定のタイミングから飛んできた、という設定を持っています。このキャラとこのキャラは出会っている前提なのかとか、エンディングを迎える前なのか後なのかとか、非常にデリケートで難しい部分ですが、網代さんが整合性を取って設定を考えてくださっています。正式サービス開始後にはぜひ読んでいただけたらと思います。
――初期実装のキャラクターは、何人くらい登場するんですか?
小松4人の主人公を含め、初期実装のキャラクターは20人ぐらいですね。リリース後もキャラクターを追加していく予定ですが、いずれは主人公でもない、アスタリスク所持者でもない、サブキャラも追加して、全員実装できたらいいなと考えています。
髙橋『ブレイブリー』シリーズはキャラが多いですからね。どの順番で誰を出していくのか悩むぐらいなので、全員揃ったら壮観だろうなと思います。
――キャラクターモデリングは、スマホ用にすべて作り直しているのですよね。大変な作業だと思います。
小松『ブレイブリーデフォルトII』のキャラをスマホに持っていくのは、デザインを変える必要がないのでそこまでではないですが、3DS時代のキャラクターを、スマホかつ『ブレイブリーデフォルトII』の基準にあわせる必要があったので、そこは大変でした。
髙橋『ブレイブリーセカンド』から『ブレイブリーデフォルトII』にかけてキャラクターの等身が大きくなっているので、そのままのデザインでは、やや密度の乏しい見た目になってしまいます。そういったところを含めてとにかくキャラクターを可愛くすることをがんばってくれましたよね。
小松最初にティズやアニエスたちから始めたんですが、作り直した回数は、5~6パターンでは済まなかったと思います。髙橋さんにも相談しながら作っていきました。
――キャラクターは覚醒することで、姿も変わりますよね。
小松はい。キャラクターを育成する手段のひとつとして覚醒があって、キャラクター全員、姿が変わります。進化後の姿は本作完全オリジナルなので、そのあたりも楽しみにしていただけたらと思います。グラフィックはかなりこだわって作っていて、図鑑でモーションをひとつひとつ見られるようにも作っています。今後、公式Twitterでは、覚醒後の姿もチラ見せ程度は公開していこうと考えていますので、この機会にぜひフォローしてもらえるとうれしいです。
――覚醒とは別に、キャラクターにはスキンもありますよね。
小松覚醒で変化する姿はキャラクターの個性を拡張するようなデザインにしていますが、スキンはかなりバラエティー豊かに作っているので、順次追加要素で出していけたらと思います。リッチに作っているぶん、工数がかかり苦労しているところですが、ファンの方に喜んでもらえる部分かと思いますので、サービス開始後は皆さんの意見を取り入れながら追加できたらと思います。
――かなり拘って開発されたキャラクターたちですが、ガチャではなく、レアリティも存在しないシステムになっていますね。
小松敵味方すべてのキャラに愛着を持っているファンの方がたくさんいらっしゃるので、キャラにレアリティなどの優劣をつけたくないという思いがありました。また、ゲーム開始早々から好きなキャラを選んで入手でき、そのキャラの育成に最初から集中出来るほうが、プレイヤー自ら選択しているぶん納得感があり、モチベーション高くゲームを始めることができるだろうと考え、直接選べる形にしています。
本作では、自ら選んだキャラを育成する過程で、そのキャラをさらに強くする手段のひとつとして“専用武器”というものが存在し、それらを入手できる装備ガチャも提供する予定となっております。
▲キャラクターの入手方法は複数あり、例えばミスリルを消費しての直接交換と、街にいるキャラに話しかけて友好度を上げる方法がある。
――専用武器を作ると、今度はゲームバランスを調整するが非常に難しくなりますよね。
小松そうなんです。非常に難しいのですが、クローズドβテストを踏まえて、その後も手を加えて慎重に作った部分なので、いいバランスに仕上がっている手応えを感じています。
――クローズドβテストのリポートを公開されていましたが、80%以上が配信後もやりたいという意欲があったと高評価でした。改めてその反響を見て、感想を教えてください。
『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』CBTレポートが公開!88%以上のプレイヤーが正式サービス開始後にプレイ意欲あり |
小松肯定的な意見を多くの方にいただけて大変ありがたく思います。中でも、原作に近い体験ができたとか、キャラクターのグラフィックに対しても評価していただけたので、売りとしている部分がしっかりと刺さったことに手応えを感じたクローズドβテストでした。
髙橋僕はCBTの前のタイミングでプレイをして、ただのファンの1人になって楽しんでいました。「ブレイブ&デフォルトを使ったバトルが楽しいな」、「好きなキャラクターを仲間にできて楽しいな」って。CBTを遊んでくれた方たちからもそういった声が聞こえてきたので、小松さんたちも安心できたのではないでしょうか。
もちろん、いろいろと課題も見えましたが、正式サービスまでに対応できると思うので、その点に関しては心配していません。
――事前登録も始まり、配信が楽しみな本作です。最後にメッセージをいただけますでしょうか。
小松現在はクローズドβテストで挙がった課題として、ゲーム導入部分のチュートリアルを修正したり、UIをブラッシュアップしております。そのあたりの改修状況や正式リリースに向けた情報発信を、今後公開予定の開発ブログで紹介しようと思っているので、ぜひ公式Twitterをフォローして、楽しみにお待ちいただければと思います。
髙橋こうして『ブレイブリー』シリーズの新作が出せるのは、これまで応援してきてくれた皆さんのおかげです。そして、『フェアリーズエフェクト』のときから、『ブレイブリー』シリーズを大切に育ててくれた小松さんチームの手で、しかも10周年のタイミングに『ブリリアントライツ』をリリースできるのはとても幸せです。
『ブリリアントライツ』が、またシリーズ作品が好きな方々が一堂に会す場になればいいなと思いますし、すぐにというわけにはいきませんが、いつかまたコンシューマーの新作も出したいと考えていますので、そのときをお待ちいただきながら、『ブリリアントライツ』を遊んで、引き続き応援していただけるとうれしいです。
対応機種 | iOS/Android |
---|---|
価格 | 無料(アプリ内課金あり) |
メーカー | スクウェア・エニックス |
---|---|
公式サイト | https://www.jp.square-enix.com/bdbl_SP/ |
配信日 | 配信中 |
コピーライト | © 2022 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. |