PS5版テレビ視聴アプリ「torne」が配信され、BUFFALO製「nasne」のアップデートにてnasne同士のダビング機能などが追加された。このことをきっかけに筆者はBUFFALO製「nasne」を購入。こちらの記事で「torne」の魅力やとBUFFALO製nasneの機能、その使用感についてレポートしている。
本稿では、nasneのNAS(ネットワークドライブ)機能に着目。簡単に言えば、nasneをホームサーバーやプライベートサーバー的に、家庭内のネットワーク内で扱えるファイルサーバーとして全力で使ってみよう!というお話だ。
スマートフォンにため込んだ、大切な写真や音楽ファイルなどを、ボタン一発でnasneへとバックアップすることが可能になる。やり方次第では、寝ている間に勝手にバックアップしてくれるように。PCでも同様の使い方は可能だが、nasneのドライブをあたかもPC用の外部ドライブのように自由に扱うことだって可能だ。
それらを実現するために、たびたび使用することになるのが「IPアドレス」だ。予備知識として覚えておいておほしい。IPアドレスとは、ネットワーク上に通信機器に割り当てられた住所のようなもので、PC、ルーター、ゲーム機、そしてスマートフォンなどあらゆる機器に割り当てられている。もちろんnasneにもだ。とりあえず各機器の名札、住所、識別番号みたいな感じで覚えておけばOKである。
まず始めにAndroid端末でnasneを有効利用する方法を紹介する。最も重宝する使い方は、最大8TBという大容量を生かして画像や音楽ファイルのバックアップだ。One DriveやGoogleドライブなどクラウドストレージと同期させても良いのだが、無料ストレージは5GBや15GBなどそれほど多くはないので、筆者は主要なデータのバックアップにnasneを利用している。
NASストレージへのバックアップは、ファイル共有のための通信プロトコル「SMB(Server Message Block)」に対応するアプリが必要になる。バックアップ以外にも同期も可能なのだが、少し設定が面倒なので今回はあくまでバックアップに焦点を絞って紹介する。
今回は、nasneへのファイルのバックアップにとても便利なAndroidアプリ「SMBSync2」と、nasneへ保存したファイルを扱うのに便利な「ファイルマネージャー+」を紹介する。
まず「SMBSync2」を起動したら、画面左下のアイコン(1)をタップしてタスクを作成を開始する。次に(2)をタップして、作成するタスクの名称を書く(ファイル名を書くようなものだ)。今回は本稿用に撮影したスクリーンショットをnasneへコピーするためのタスクを作るので、「スクリーンショットバックアップ」と名付けた。
次に「マスターフォルダー(同期元)」(3)をタップして、バックアップしたいファイルが保存されているストレージを選択する。通常撮影した写真や音楽ファイルなどは「内蔵ストレージ」に保存されているが、設定でSDCARDに保存することもあるので、そのあたりは各自で調整してほしい。今回は「内蔵ストレージ」を選択した。
するとディレクトリ(PCでの名称はフォルダ)の一覧が表示されるので、バックアップしたいデータが保存されているディレクトリを選ぼう。以下は主なディレクトリの使用例。
まずは手順1の画像(緑枠)に表示されていた「ターゲットフォルダー(宛先)」をタップする。すると保存先のメディアの指定を要求されるので、「SMB共有」(1)をタップする。
次にバックアップに使用するnasneのIPアドレスを登録する。手動で入力することもできるが(2)をタップすることで、ホームネットワーク上にあるnasneとそのIPアドレスを検索してくれるので、保存先に使用したいnasneを選択しよう。
次に「SMBプロトコル」(3)を選択する。これは通信規格のようなもので、SIE製はVer1.0までしか対応していないので「Ver1.0」を選択。BUFFALO製はVer2.0に対応しているので「SMB V2/3(2.14)」のままでOKだ。
次に「共有一覧」(4)をタップして、共有先(保存先)のドライブを選択する。nasne本体ストレージは「share1」が、nasneに接続した外部ストレージは「share2」の名前が自動で割り当てられるので、どちらか好きな方を選ぼう。nasne本体のストレージはさまざまな情報が書き込まれて負担がやや大きいので、お勧めは外部ストレージの「share2」だ。
最後に保存先の「ディレクトリ一覧」(5)(フォルダ)を選択する。今回保存するのはスクリーンショットなので、ひとまず「Photo」フォルダを作成して保存することにした。フォルダの作成は、本作業の流れの中で作成可能だ。
最後の手順は、バックアップの細かい動作を設定する。デフォルトの設定だと2回目以降のバックアップ時に、同じファイルコピーの上書きをするか聞いてくるため処理が停止してしまう。それを防止するために、「詳細オプションを表示する」(2)にチェックを入れて、新たに表示される以下の項目のチェックを入れる。
上記にチェックを入れることで「同じタイムスタンプのファイル」もしくは「新しいタイムスタンプ」のファイルへの上書きを自動でキャンセルするようになる。さらに以下の設定のチェックの設定することで、保存先が古いファイルなら自動で上書きを行うようになる。
以上でバックアップのタスク作成は完了だ。あとはタスク名の横にあるアイコン(5)をタップすることでコピーが実行される。さらにスケジュールを設定すれば、毎時/毎日/毎月/インターバルを指定する自動バックアップも可能なので、頻繁に写真を撮影したりする人は設定しておくと便利だ。
またnasneの特定のファイルをスマートフォンにダウンロードしたい場合は、「ファイルマネージャー+」と呼ばれるアプリがお勧めだ。nasneの登録は「リモート」-「リモートロケーションを追加する」-「SMB」にて、登録したいnasneのIPアドレスを手動で入力する。自動で検索してくれない点だけはやや面倒だが、一度登録すれば安定してnasne(nas)やフォルダを認識するため扱いやすい。
ほかにも操作に少し癖があるが「X-plore」と呼ばれるアプリも便利だ。nasneなどのネットワークドライブのファイルへのアクセスが最も簡単なアプリで、DLNA経由でアクセスして、メディアに保存されている録画番組を直接開くことも可能だ。ただ一部の機能が優良であったり、ファイルがうまく認識しないことがあるなど、ややじゃじゃ馬な面があるのでお試し程度で触ってみるのもいいだろう。
次に紹介するのはWindows10でnasneをネットワークドライブとして有効化する方法を紹介する。特にPS5ではすべてのファームウェアの機能を使用できないので、PS5ユーザーはやっておけると後々便利かもしれない。
最初の手順では、SMBプロトコル(システムの手順書のようなもの)を有効化する。Windows10とnasneで単純にファイル共有するための下準備だ。最終的にはnasneのドライブをPCのGドライブFドライブと言ったパソコンの一部のように扱うこともできるのでひとつひとつ手順を覚えておこう。設定自体も、それほど難しくはないので構えずについてきてほしい。
手順1Windows10のデフォルト状態ではファイル共有に関する設定が無効化されている場合もあるので、「Windowsの機能の有効化または無効化」を開いて有効化する。
「Windowsの機能の有効化または無効化)」をクリックすると、以下のウィンドウが表示される。
「SMB」の設定をすることでようやくファイル共有の下地が完成。簡単でしょ(?)次にエクスプローラーを開いて、ネットワーク共有を設定していない場合以下の画像の(手順3)と(手順4)を続けて実行する。
以上でWindows10からnasneの各種ドライブへエクスプローラーから普通にアクセスできるようになった。普通であればこの段階で十分だ。エクスプローラーのドライブリストの中から「ネットワーク」をクリックすると、「コンピュータ」の一覧にnasneの機器が表示されている。
そして試しにnasneにアクセスしてみよう。上記画像の「コンピューター」の枠内にあるnasneのアイコンを試しにダブルクリックしてみると。
nasneのフォルダをあらためて開くと、2種類、もしくは3種類のフォルダが表示される。
ためしにnasne_homeフォルダ内にある「index.html」をダブルクリックするとブラウザが立ち上がり、nasneのファームウェアを開くことができる。このためPCブラウザでもnasne「HOME」の機能を設定することも可能だ。ファームウェアのダビング機能を利用したり、BUFFALO製であれば見守り機能をチェックして耐久値に問題が無いか確認することも容易だ。
上記の設定を行うだけでもnasneをWindows10でファイルサーバーとして十分使用できるようになっている。しかし、もう少し頑張るとさらに便利に使うことができるので頑張ってみよう。
次はnasneの内蔵ドライブや外部ストレージを、あたかもPC用のドライブとして扱えるようにする手順を紹介する。まずは先ほど紹介した手順でnasneのファームウェア「nasne HOME」を開こう。
「nasne HOME」内にある、「基本設定」-「ネットワーク設定」を開いて、IPアドレス設定を手動にする(IPアドレスの固定)。これによりnasneの認識が不安定になること防ぐことができる。
「nasneHOME」のファイルサーバー設定にある「共有フォルダ名」が初期値の場合、nasneの内臓HDDは「share1」、外付けHDDは「share2」の名前が付けられている。それを踏まえて、「share1」と「share2」を通常のドライブのように使えるようにする。
以上でnasneのHDDを通常のドライブのように扱えるようになる。ここまで細かい手順を踏む必要はないのだが、Windows10で安定してnasneをドライブとして利用しようと思ったらやっておきたい設定だ。
一度設定してしまえば通常のドライブと同じ感覚で使用することができるのでとても便利になる。同期アプリを導入するのも幅が広がるので、nasneを操るための下地を頑丈に整えたと思ってくれてもいい。
PCで単純なバックアップにとどめてもいいし、さらに同期アプリなどを使用して、PCとnasne、スマートフォンとnasneをより親密に同期させてもいいだろう。ここから先の手段はさらに千差万別なので、ここからは自分なりのnasneの使い方を考えて、有効利用にチャレンジしてみてほしい。