ほかにもHypersmoothには注目すべき改良点がある。それは水平の維持だ。HERO10では、撮影したデータを補正できる水平維持の傾きが最大45度になった(HERO9では最大27度だった)。残念なことにこの機能は5.3K動画の撮影には対応していないが、4Kの60フレーム/秒動画では使うことができる。
注目すべき新機能
Hypersmooth 4.0の進化は確かに素晴らしい。だが、はるかに役立つと思ったのは新しいローカルトーンマッピングのアルゴリズムで、これが写真だけでなく動画でも利用できるようになったのだ。ローカルトーンマッピングによって細部が不明瞭な領域のコントラストが強調され、細部の印象を高められる。
その典型的な例は、髪の毛と草だ。どちらも動画では色が落ちてくすんだ感じになるが、ローカルトーンマッピングを利用してHERO10で撮影したところ、HERO9で撮影した場合と比べて動く草の動画の質感は劇的にアップした。
HERO10で大きく改良されたもうひとつのポイントは、動画のノイズ低減である。これまでのGoProでは、コントラストが高い状況や照度の低い場合、粒状性と鮮明度を落とすことで動画のうつりを改善していた。そのシステムが、新しいチップで動作する新しいアルゴリズムのおかげで進化した。
その成果が最もよくわかるのは、低照度の動画や、日暮れ、夜間の街を撮影した場合だ。ノイズ低減をHDRトーンマッピングと組み合わせることで、扱いにくい昼間のショット(木漏れ日の差す森の中を歩きながら動画を撮影するような場面)において、同じ状況でHERO9で撮影した場合に比べてはるかにきれいに見えるようになった。
最後に紹介する注目すべき新機能は、新しいレンズカヴァーだ。疎水性と呼ばれる水をはじく特性を備えている。これについては実際に水中で使ってみるまで疑っていたのだが、本当に機能する。
それどころか、GoProを水の近くで使うなら、これが最高の機能かもしれない。レンズの水滴でアクションがぼやけて、動画が台なしになってしまうことがなくなるのだ。
一瞬を切り取る素晴らしい方法
GoProはヴィデオカメラとして最もよく知られているだろうが、実はかなり優れた静止画の撮影機能も備えている。
HERO10はHERO9と同じ23.6メガピクセルのイメージセンサーを搭載しているが、HERO9の解像度は最大20メガピクセル止まりだった。今回はHERO10のプロセッサーの処理能力が向上したことで、センサーの能力をフル活用できる最大23メガピクセルまで引き上げることができた。
RAW現像ソフトで並べてみても違いが大きく目立つようなことはなかったが、これは画像を少し小さめにトリミングしても従来と同じ解像度になることを意味する。言い換えるなら、GoProで撮影した画像からポスターをプリントすると、HERO10のほうがHERO9よりもきれいということになる。しかもRAW画像だけでなく、すべての写真モード(バースト、スーパーフォト、ナイトフォト)に適用される。