グーグル傘下のドローン配送会社、アメリカの大都市圏でサービス提供へ

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ウイングとウォルグリーンが提携し、ドローン配送を開始する。

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グーグル(Google)傘下のドローン配送会社ウィング(Wing)は、テキサス州ダラス・フォートワース複合都市圏で、店舗から配達先までわずかな時間で飛行できる特製のドローンを使った配送サービスを提供する

ウィングのドローンによる配送サービス。

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これまでウィングは、アメリカの小規模な都市に限定して、薬局や地域のコーヒーショップ、ホームセンターなどの商品を配送するサービスを提供してきた。注文は顧客はモバイルアプリで行い、商品をドローンから受け取るようになっている

ウィングのアプリ

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今回、ダラス・フォートワース複合都市圏がサービスエリアに加わることで、アメリカの主要都市でもオンデマンドのドローン配送が可能であることが実証され、小さな荷物を受け取るために車で店舗に向かったり、ラッシュアワーの渋滞に巻き込まれたりせずにすむようになるだろう。このサービスは、今後数カ月のうちに開始される

ウィングのドローンによる配送サービス。

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ダラス・フォートワース複合都市圏は、アメリカの主要都市で初めてドローンによる配送を行う場所になる。住宅地での配送としては世界最大規模だ

ダラス郊外の街並み。

Jeremy Woodhouse/Getty Images

Source:Wing


ウィングはまず、ドラッグストア大手のウォルグリーン(Walgreen)と提携し、ダラス郊外のフリスコとリトルエルムの住民に市販薬や食品、日用品を届ける

ウィングはウォルグリーンとドローン配送で提携した。

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Source:Wing


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グーグル傘下のドローン配送会社、アメリカの大都市圏でサービス提供へ

ドローンは、ウォルグリーンの駐車場に設置された小さなコンテナに格納される。このコンテナを利用することで、商品を発送する店舗は屋上や駐車場、建物付近の小さな場所から簡単にドローンを飛ばすことができ、発着ステーションの設営もわずか数時間でできる

ドローンを格納するコンテナと発着ステーション。

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Source:Wing


ウィングのゼロエミッション電動ドローンは、人口密度の高いアメリカの都市部での運用を想定しており、訓練を受けたドローンパイロットが地上から監視している

ウィングのドローンによる配送サービス。

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都市部で安全に稼働させるために、ドローンには独自の無人配送管理ソフトウェアが搭載されている。それによって、現地の気象データ、地形や空域の地図、他のドローンの活動状況を把握した上で、配送ルートを設定する。その情報が他のドローンにも送信されることで、安全な配送が可能となる

ウイングのドローンによる配送サービス。

Wing

Source:Wing


ドローンには固定翼とホバリング(空中停止)可能なプロペラが搭載され、飛行機とヘリコプター、両方の動きができるため、バランスよく安定した飛行が可能だ

ウィングのドローンによる配送サービス。

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商品の梱包やドローンへの積み込みは、ウィングの従業員ではなく、同社と提携したウォルグリーンの従業員が行うことになる。これはウォルグリーンにとって初めての試みとなる

商品の発送準備を行うウォルグリーンの従業員。

Wing

Source:Wing


ダラス北部には、新たな都市生活をコンセプトとして開発された「フリスコステーション」があり、ウィングは、そこにも施設を開設する。そこは配送機能も持つが、「新たな用途の探求、コミュニティでのデモンストレーション、視察への対応」に重点を置く予定だ

新たな都市生活をコンセプトとする再開発地区「フリスコステーション」の完成予想図。

Frisco Station

Source:Wing,Frisco Station


サービスの開始に向けて、ウィングはフリスコやリトルエルム周辺でテストフライトや配送のデモンストレーションを行い、顧客からのフィードバックを得る予定だ。数カ月後には、ダラス・フォートワース複合都市圏でドローンによる本格的な商用配送サービスを開始する

ドローンで運ぶ商品を入れる箱。

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ウィングは、現在オーストラリアとフィンランドで配送サービスを展開しており、今回、アメリカにそのサービスを拡大することになった

フィンランド・ヘルシンキの空を飛ぶウイングのドローン。

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ウィングはオーストラリアのローガンで世界唯一の屋上ドローン配送サービスを展開しており、ショッピングセンター「グランドプラザ」の屋上からドローンを飛ばし、周辺地域の人々に2500件以上の非接触配送を行ってきた

オーストラリア、ローガンにあるショッピングセンター屋上に設置されたドローンの発着ステーション。

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ウィングによると、最終物流拠点から顧客に荷物が届くまでの「ラストワンマイル」でかかるコストは、商品の取引にかかるコスト全体の15%から20%を占めるという。これは、配送費あるいは顧客が商品を引き取る際に要した労力という形で生じる

オーストラリアのドラッグストアで、ウィングの配送用の箱を持つ従業員。

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Source:Wing


だが、ウィングのドローン配送サービスでラストワンマイルの配送をより持続可能で効率的なものにできれば、それは変わるかもしれない。ウィングによると、オーストラリアの一般家庭に向け配送の4%から6%を同社のドローンで行えば、同国の小売業売上高は2030年までに22億ドル増加するという

ウィングのドローン配送。

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現在、アメリカでドローン配送を展開しているのはウイングだけではない。イスラエルに拠点を置くフライトレックス(Flytrex)は、2020年からノースカロライナ州フェイエットビルの住民にスターバックス(Starbucks)やウォルマート(Walmart)の商品を届けている

フライトレックスは、ノースカロライナ州でスターバックスのドリンクをドローン配達している。

Flytrex

Source:Flytrex,Insider


フライトレックスによると、同社のサービスはウーバーイーツ(Uber Eats)、ドアダッシュ(DoorDash)、グラブハブ(Grubhub)の宅配よりも効率的だとしている。これらの企業の宅配ドライバーは1時間に約2.5件の配達を行っているのに対し、フライトレックスのドローンは同じ時間で10件の配達を行うことができ、飲食店のコストを大幅に削減できるとフライトレックスは述べている

ファストフードチェーンのエル・ポヨ・ロコ(El Pollo Loco)は、フライトレックスと提携し、南カリフォルニアでドローン配送を行っている。

Flytrex/El Pollo Loco

Source:Flytrex

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[原文:Google's drone delivery company is partnering with Walgreens to deliver meds, food, and household items to customers in Dallas]

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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