KDDIは携帯通信を用いて複数の飛行ロボット(ドローン)を遠隔から運航管理する体制の構築に向け、日本航空(JAL)と協業する。有人地帯における目視外飛行(レベル4)で、KDDIの運航管理システムとJALが持つ航空安全技術や知見を組み合わせ、機体同士が衝突を避けて安全に飛行できるようにする。KDDIは2024年度にドローン事業で100億円の売り上げを見込む。
22年に予定されるレベル4解禁で長距離飛行が可能になり、物流や警備、監視、インフラ点検などでの利用拡大が期待される。「ドローン市場が本格的に離陸するゲームチェンジの年となる。モバイル通信と運航管理、二つの武器で切り開きたい」。15日にオンライン説明会を開いたKDDIの松田浩路執行役員事業創造本部長はこう意気込む。
JALとの協業では運航体制の構築のほか、ドローンを活用したい企業や自治体向けのコンサルティングでも連携する。22年度に離島地域で物品輸送の実証実験を行い、地方でのビジネスモデル構築を共同で検討する。
KDDIは市場成長を見込み、完全子会社「KDDIスマートドローン」を設立した。KDDI本体で手がけていたドローン事業を新会社に移管し、より機動的なサービス開発を目指す。
遠隔自律飛行に必要な携帯通信回線、運航管理システム、クラウドをパッケージ化したサービス「スマートドローンツールズ」を始めた。遠隔操作や映像のリアルタイム監視、クラウド上でのデータ管理が可能。ドローンを使い慣れない企業でも導入しやすい。災害時のインフラ監視や設備点検などでの利用を見込む。月額料金は消費税込みで4万9800円。今後は物流や点検など用途別のサービスも提供する。
ドローンは山間部など光回線を敷設できない地域でも使われる可能性がある。提携する米スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」をバックホール回線として活用し、利用エリアを広げることも検討する。
日刊工業新聞2022年2月16日