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ASUSTOR NASで監視カメラシステムを構築してみる

 現在では一人暮らしや共働きなど、日中無人となる家庭は珍しくなくなった。その上、地域の排他的コミュニティが犯罪抑止力ともなっていた昔の牧歌的な時代とは異なり、児童への声かけ事案など、一部を除いては近隣住民の目による犯罪防止は期待できない状況となっている。そのため、自衛のための防犯対策は必須と言えるだろう。

 防犯対策として施錠は当然としても、それだけで十分かと言えば決してそんなことはない。サッシによく使われているクレセント錠、玄関ドアのシリンダ錠、サムターンなど、ぜい弱性が指摘されていながらまだまだ広く利用されているものは多い。賃貸住宅の場合は危険性を理解していても賃借者では契約上、手を出せないこともある。さらに1階の部屋であればベランダからサッシのガラスを破壊して侵入するのも簡単だ。実際、筆者が空き巣被害に遭ったときは、同じアパートの1階の居住者、4世帯すべてがサッシガラスを割られて侵入されていたくらいだ。

 考えられる被害は自宅内の窃盗に限らない。夜間に自宅前に置いた自転車が盗まれたり、駐車場の自家用車にいたずらされる、というようなもの、あるいは近隣トラブルによる住人不在時の嫌がらせもあるだろう。大事に育てていた花が荒らされる、庭にゴミを投げ込まれる、玄関前にいつも犬のフンを残していくなど、現場を押さえられずに歯がゆい思いをしている人もいるかもしれない。そういう場合には監視カメラが有用だ。

 だが、監視カメラを導入するとなるとそれなりに大がかりになる場合もある。24時間365日、録画し続ける機能が求められるのは当然だが、いつかはストレージ容量が足りなくなる。古い映像データを定期的に消す仕組みも必要だ。証拠として撮影するだけではなく、なにか異変があったときに即座に通知を行うような仕組みまで考えると、費用もかなりかかってしまうだろう。そこでASUSTOR NASを使った監視カメラシステムはいかがだろうか。

 ASUSTOR NASのSurveillance Centerはネットワークカメラを統合管理する、ASUSTOR純正アプリケーションだ。管理できるネットワークカメラの台数はAS10シリーズの8台からAS7シリーズの49台まで、モデルによって異なる。ネットワークカメラ4台分のライセンスが同梱されているので、通常利用であれば無料利用の範囲内で十分だろう。

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5台以上のカメラを接続する場合は1台あたり45米ドル(約5,300円)の追加ライセンスが必要。接続可能な台数はモデルによって異なる。購入はASUSTORのアクセサリストア(https://shop.asustor.com/index.php?route=product/product&product_id=60)から

 Surveillance Centerに対応しているネットワークカメラはASUSTORの互換性ページで確認できる。日本のブランドだとバッファロー、キヤノン、パナソニック、ソニーなどが挙げられている。また、ここに掲載されていないメーカー、モデルの製品であってもRTSPプロトコルに対応した製品であれば利用できる可能性が高い。すでにネットワークカメラを持っている人は仕様を確認してもらいたい。

Surveillance Centerに対応しているネットワークカメラはASUSTORの互換性ページ(https://www.asustor.com/service/ipcam?id=ipcam)から確認できる

 Surveillance CenterはApp Centralからインストールする。ADMに管理者権限でログインし、App CentralからSurveillance Centerのインストールボタンを押せば、後は指示に従って進めていけばよい。Surveillance Centerは保存用フォルダとしてSurveillanceを使用するが、これはインストール時に自動的に作成されるので事前に作成しておく必要はない。

ADMには管理者権限を持つアカウントでログインデスクトップにある「App Central」のアイコンをクリックApp Centralの「カテゴリ」から「セキュリティ」を選択Surveillance Centerの「インストール」をクリックSurveillance Centerは共有フォルダ「Surveillance」が必要な他、9つのポートを使用する。共有フォルダは自動的に作成される

 インストールが完了したらSurveillance Centerの設定を行っていこう。専用アプリケーションのインストールを行い、Surveillance Centerに接続できるようになったら設定メニューからクイックスタートをクリックすれば一通りの設定が完了するようになっている。Surveillance CenterはADMからアイコンをクリックするほか、ASUSTOR Control Centerのサービスメニューからも起動することができる。

デスクトップにSurveillance Centerのアイコンが作られるのでクリックSurveillance CenterはASUSTOR Control Centerからも起動することができる初回起動時に専用アプリケーションのインストールを行うインストールが完了すると専用アプリケーションが立ち上がり、ライブビュー画面が表示される。まだカメラがないのでなにも写らない設定メニューからクイックスタートを選択右側のエリアをクリックすると接続済ネットワークカメラのスキャンが行われる

 もし、ネットワークカメラが接続されているにも関わらず、見つからなかった場合には手動で追加を行う。カメラのモデルは選択肢から選ぶようになっているが、もし、選択肢にない場合は同じブランドの近いモデルを選ぶとうまくいくかもしれない。それでもダメな場合や、そもそもブランドが選択肢にない場合などは直接設定を行う。

 ブランドに「User-Defined」を選択すると直接設定が可能になる。モデルには映像の送信方法として「Generic MJPEG」「Multiple RTP over RTSP (TCP)」「RTP over RTSP (TCP)」「RTSP and RTP over HTTP」のいずれかを選択する。試してみた限りでは「Generic MJPEG」だとライブビューはできるものの、記録はできないようだった。音声もサポートされないので、RTSPのいずれかの方式が使えるネットワークカメラのほうがよさそうだ。

スキャンで見つからなかった場合は「キャンセル」を押して手動設定を行う。ここで「OK」をクリックすると再スキャンになってしまうので注意「手動で追加」をクリックカメラのモデル、IPアドレス、ポートを指定ユーザー名とパスワードを入力。テストをクリックして接続が確認されれば「確認」欄にチェックが入るカメラ名、品質等を指定。モデルによって選択肢は異なる手動設定後、「テスト」をクリックして画像が表示されればOK動画・オーディオの設定。今回使用したネットワークカメラはオーディオ非対応のためdisableになっているカメラが追加された

 カメラが追加できたら次に「記録」ボタンをクリックして記録時間帯を設定する。各曜日、30分ごとにどのような記録、アラームを行うかを指定することができる。連続記録は通常の録画を行う。「動き記録」はカメラが動体を認識したとき、「アラーム記録」はカメラのアラーム機能によってなんらかのイベントが発生したとき、「動きとアラーム記録」はそのいずれかが発生したときに録画を開始する。動き記録やアラーム記録に対応していないカメラの場合は連続記録しか選択できない。

 ディスクの利用制限などを設定すればひとまずは設定完了。クイックスタートで設定した内容はあとで設定メニューのカメラから変更することができる。ただし、カメラのモデルなどを変えることはできないので、その場合はいったん元のカメラを削除してから改めてカメラを追加する。

記録時間帯の設定。対人センサ対応カメラであれば動き記録、アラーム記録などの設定ができるディスクの利用量制限などを設定。これで完了カメラがないならスマホを使えばいいじゃない1|2|3次のページへ

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