熊さんに遭遇するといっても段階があります。どれくらい熊さんと離れているのかを把握して適切な行動をとることが重要です。熊さんの生息場所によって行動心理が異なり、個体によって行動も変わってきますが、基本的な考え方として熊さんに遭遇してしまった場合にやってはいけないことを紹介します。やってはいけないことをやらなくても襲われてしまう可能性がゼロになるわけではありませんが、襲われる確率と助かる確率が高まりますので、覚えておきましょう。
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12~4月まで熊さんは冬眠します。冬眠から覚めると山菜などを探し食べます。6月頃に繁殖期があり、夏はハチミツや昆虫を探して食べます。秋になると木の実を食べて過ごし、12月になると冬眠するという生態が基本です。
このように季節の変化によって食べ物が変わることを覚えておくと良いでしょう。
世界には8種類の熊さんがいると言われています。日本にはツキノワグマさんとヒグマさんが生息しています。ヒグマさんは北海道にしかいません。本州以南はツキノワグマさんが生息しています。昔は九州にもツキノワグマが生息していましたが、50 年ほど前から生息は確認されていません。
熊さんが生息する場所は森や山の中がほとんどです。日本全国で見てみると約40%を占めるエリアで熊さんが生息しています。このエリアは山中に集中していると考えると、山の中に入る事は熊さんが生息している場所に入るということを忘れてはいけません。
熊さんは落葉広葉樹林のあるところを主な生息地としています。東北地方や中部地方では6割以上の地域に、関東、近畿、中国地方では3割の地域に、四国は限られた地域にだけ生息しています。
山の中に入る事は熊さんが生活している場所にお邪魔すると考えるべきでしょう。
山中で観光地化されているような場所でも熊さんが生活している場所には変わりがないと考えると、そこで熊さんに遭遇したときにパニックを起こしてしまい、冷静な考え方が出来ないのはリスクを助長してしまいます。登山は熊さんに遭遇する可能性がある前提で行動すると冷静に対処することができます。
熊さんに遭遇したときに正しい対処・対応を取る事はファーストエイドやエマージェンシーキットを登山で持ち歩くと同様レベルで重要な知識と準備です。
熊さんはその昔ネコ科の肉食獣として生まれ、今の熊さんに至る途中で雑食化しました。肉食獣であった頃の爪や牙、走ると時速40キロほどのスピードが出る脚力などが今もなお健在です。木登り、穴掘りのために強い力と鋭いツメがあり、木登り水泳も得意です。
ツキノワグマさんは植物を主食としており肉を食べるために生き物を襲う事は基本的にはしません。
人間が増えすぎた鹿を駆除した際に山に残した死骸を食べる歴史があったことからヒグマは肉食動物を襲い食べる習性を持っています。
最近では秋田の方で熊さん騒動があり、ツキノワグマが肉を食すために人を襲う可能性があると指摘されています。これは人間の都合で鹿の駆除が行われ、それをきっかけに肉食化した個体が出てくることが懸念されているそうです。
今のところ本州ではツキノワグマが食すために人を襲う事件は起きていないと言われています。
ここ最近では山の中で人がツキノワグマに襲われる事故が多発しています。事故の内容を確認すると、登山道を歩いていて曲がったところに熊さんが突然現れたといった出会い頭で近距離で遭遇してしまったり、山の近くの畑で、山と集落の境の管理環境が変わったことで山から降りてきて食料を見つけ、人間の生活領域に足を踏み入れる事故が起きています。
熊さんは食べるものの執着心が強く、それがために見つけた食べ物を手に入れることができなくなるとパニック状態に陥ることがわかっています。
例えば畑にクマが入り畑のものを食べているところに畑の持ち主が熊さんを追い払おうとすることで熊さんの防衛反応が働き防衛攻撃が始まることが起きます。
熊さんの生息地のほとんどは森林ですが、特にどんぐり類が不作の年は食物を求めて熊さんの行動範囲は広がり、本来の生息地を離れ、人里近くに近づくことがあります。このときに人との出会い、農作物被害や林業被害などの問題を引き起こすことがあります。
熊さんと遭遇した際に自分とクマがどれだけ離れているかのを瞬時に把握することは非常に重要です。地図読みをする時にも目の前に見える山頂までどれだけの距離があるかということを瞬時に自分なりに想像して距離に置き換える事は登山においても重要ですが熊さんとの遭遇においても重要です。
10mのものとして想像しやすいバスの全長やテニスコートの横幅を知っておき、それらを重ねていくことで連なった先に熊さんがいるなと思えばその距離が何mとおおよその検討をつけることができます。
50m以上離れている場合は、熊さんが突進してこちらに向かって襲ってくる事はほぼないと思われます。しかし近づいていくと危険が高くなるため、熊さんに背を向けず後ずさりするような形で距離をあけて熊さんが見えなくなるところまで移動しましょう。
この時重要なのは大きな音を出したり叫んだりして刺激しないことです。熊さんも人間は危険な生き物だと思っている可能性が高く、刺激をすることで非常に危険であることをより一層高めてしまい、想像をしない行動に移る可能性がある事は否めません。できるだけ音を立てず静かに距離を開けていくことを覚えておきましょう。
20mは大分近く感じることでしょう。目と鼻の先に熊さんがいる状態です。この時もできるだけ静かにして後ずさりし距離をあけていくことが重要です。
この時熊さんは目の前にいる人間を無視していることもあります。50mの距離と同様に大きな音を出したりするとクマを刺激してしまうので非常に危険です。
あくまでも熊さんの生活圏に人間が入っている状態であることを忘れずに刺激を避けることが重要です。
20mの位置から熊さんが威嚇しているような状態で徐々に人間に近づいてくる行動に移ったり、鼻をヒクヒクさせながら、人間を観察しているような行動の場合、観察段階と言ってこの後逃げたほうがいいのか、襲う方がいいのかという野生脳が働いている段階に入ります。
この時もゆっくりと音を立てずに後ずさりしながらスプレーを持っている場合はスプレーの準備をして必ず自分から威嚇や攻撃をしないようにゆっくりと距離を作ります。
こう考えるとスプレーは腰につけていつでも取り出せるようにしておくと大変良いでしょう。ザックの中にスプレーを入れてしまっていたら、音を出してしまい熊さんを刺激するような行動になってしまう想定ができます。
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もしも熊さんが小走りに自分に近づいてきてしまった場合はスプレーの準備に入ります。スプレーの噴射は熊さんが5m以内にきた場合に噴射をします。それ以上距離が開いた状態で噴射しても届かないので注意しましょう。
熊さんは近づいてきて人間を襲ってくる場合と方向転換をして森の中に逃げていってしまうので分かれます。これは実際にどういう行動になるか見分けがつかないので、後ずさりしながらスプレーを構え障害物を作るなどして距離をつくります。
熊さんが突進している状態で、もう逃げ切れない状態になってしまったら、スプレーを噴射する行動をとります。もしもスプレーがなく攻撃することができない場合は、岩等があればその上に登って自分の体を大きく見せ、大きな声を出し人間から熊さんを威嚇します。こうすることで熊さんが我に返る場合があります。
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本来ならば熊さんは無視してそのまま立ち去るとか、方向転換をして森の中に逃げていくような行動だったはずなのに人間から威嚇してしまうことで防衛攻撃を行い人を襲う可能性を高めてしまう結果につながる事があります。
多くは静かにして正しい行動をすることでほとんどの場合逃げていってしまうと言われていますが、過去に人間に嫌なことをされた熊さんであれば、人間を見るやいなや防衛攻撃をする熊さんもいるようですが数は少ないようです。
登山をしている際に食料を山の中に捨ててきたり食料の匂いがするものを捨てたりする事は絶対やめましょう。
またカップラーメンの残った汁などを山の中に捨てることでその匂いをかぎつけて動物たちが人間を襲うきっかけを作ってしまうことにつながります。
標高の高いところに人間の食料の匂いを嗅ぎつけて、猿が移動してその結果雷鳥の雛が食べられてしまう問題も懸念されています。自然との関わりを正すことは熊さんの被害が最小限に食い止められる可能性が高まることを知っておきましょう。
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