画像=CESより
テクノロジー業界の恒例行事となっているのが毎年米国・ラスベガスで開催される電子機器の見本市、「CES」。今年の「CES 2022」は直前のコロナ感染拡大を受けて、大手テック企業のリアル出展見合わせが続くなど逆風を受けながらも、1月5日から1月7日までリアルとデジタルのハイブリッドで開催された。【写真】「CES 2022」アワード受賞イヤホン・ヘッドホンそんな世界最大のハイテクイベントでは、毎年イノベーションアワードという注目製品が発表される。日本では知られていないメーカーや製品が名前を連ねる事もあり、興味深い内容となっているのだ。今回は今年の「CES 2022 Innovation Awards」受賞製品のなかから、「Headphones & Personal Audio」で選ばれたオーディオ製品の注目製品をピックアップして紹介する。・オープン型の完全ワイヤレスイヤホン「Etude」「Etude」は、米Conduction Labsが中国ALOVAと共同開発する、耳にイヤーフックのように装着するオープン型の完全ワイヤレスイヤホン。イノベーションアワードによる評価理由は、”指向性オーディオテクノロジー”。骨伝導ではなく一般的なイヤホンと同じトランスデューサーでサウンドを再生する仕組みで、最小限の音漏れでアーティストの意図通りのサウンドを再現するとしている。従来のオープン型の完全ワイヤレスイヤホンよりも、空間を使った音楽リスニング体験を届けるアイテムだ。接続はBluetooth5.2で連続再生時間8時間、音声アシスタント呼び出しにも対応。米キックスターターを通して2021年10月より発送を開始している。・没入型3Dオーディオを提供する「X3D Audio Headphone」「X3D Audio Headphone」は、Hi-Fiヘッドホンであると共に、HRTF(頭部伝達関数)に合わせてリアルタイム変換を行う没入型3Dオーディオを提供するヘッドホン。イノベーションアワードでは、ステレオや、5.1、7.1サラウンド音源を3D化するアップミックス、そしてユーザー個々のHRTFを取得するパーソナライズ化機能が評価されている。オーディオ関連の技術で、3Dのイマーシブオーディオは今まさにホットな分野。同製品を開発するDIGISONICは2015年に設立された韓国ソウルに拠点を置く企業で、革新的なイマーシブサウンドアルゴリズム”EX-3D”を開発した。メタバースにも対応する次世代3Dオーディオ技術の開発メーカーとしても注目を集めている。なお、モバイルアプリの「3D Spatializer App」もイノベーションアワードに輝いている。・3通りの接続が可能なゲーミングヘッドホン「Alienware Tri-Mode Wireless Gaming Headset」CES 2022に合わせて発表された最新のゲーミングヘッドホンが、米DELLの「Alienware Tri-Mode Wireless Gaming Headset」。イノベーションアワードでは、DolbyAtmosの立体音響、40mm Hi-Res認定ドライバー、アクティブノイズキャンセリング(ANC)、3Dオーディオ対応など、最新のゲーミング向け音響性能が評価ポイントに。近年、世界的にゲーミング製品の人気が高まっていて、そんな中でオールインワン型ヘッドホン製品という位置づけを提示した。製品名にある”Tri-Mode”とは、有線、USBドングル経由の無線接続、Bluetooth 5.2の3通りで接続できるという意味。なお、発売は4月とのこと。・スポーツバンドで音楽リスニングが可能「Run-up」「RUN-UP」は、スポーツ中に音楽を聴くためのスポーツヘッドバンドの形をしたウェアラブルオーディオデバイスだ。イノベーションアワードでは、スポーツバンド一体型の革新性と、ダイレクトサウンド・システムが評価されている。音楽再生の仕組みはバンドの耳近くの位置に16ミリのユニットを内蔵し、音波をユーザーに直接届けるもので、バスポートによって低音の音圧も再現。スマホとの接続はBluetooth5.0で通話も対応、連続5時間の再生が可能だ。海外では2020年10月よりクラウドファウンディングが行われ、2021年3月には発送をスタートしている。・ハイエンドヘッドホン向けの音楽ストリーミングシステム「Uniti Atom Headphone Edition」「Uniti Atom Headphone Edition」は、英国Naim Audioの手掛ける据え置きのデジタル音楽プレイヤー一体型ヘッドホンシステムと呼ぶべき製品。イノベーションアワードでは、独自のデジタル音楽ライブラリ、Spotify、Apple Music、TIDAL、Qobuzなどの配信サービスに対応し、ヘッドホンリスニングを次世代に引き上げるシステムとして評価されている。4.4mmバランス端子やXLR端子、6.3mmヘッドホン端子などを備え、愛好家の多いハイエンドのヘッドホンを接続できる。PCやスマホなどを介さずに、ハイエンド級の品質でヘッドホン再生できる現代的なストリーミングシステムというのが存在意義と言える。なお、海外では2021年5月より発売されている。
折原一也