タイの首相府と工業省、日本の経済産業省とJETRO(日本貿易振興機構)と AMEICC(日・ASEAN 経済産業協力委員会)は2日、バンコク市内にある在タイ日本大使公邸で、日タイ間のオープンイノベーションに関わる MoU(覚書)の調印式を開催した。日タイのスタートアップ6社、大企業、財閥および傘下の各社などは、共同事業の可能性模索に向けた PoC(実証実験)に取り組むことになる。
日本とタイの革新的スタートアップとタイの日系企業の戦略的提携を促す「Open Innovation Columbus(OIC)」という活動の一部だ。OIC は、世界で成功する日本のスタートアップの醸成、ASEAN を牽引する財閥が持つ最先端技術への需要に対しての課題を共に解決していくという目的で開始された。日本政府は両者のパイプ役を務め、マッチングからフォローアップまでのハンズオン、タイでの事業拡大に必要な資金、タイ現地の日本人起業家とのメンタリング制度など支援内容を充実させる。
OIC 関連イベントとしては、これまでにバンコク市内で「Rock Thailand」「BLEND」「DX Summit」などが開催されている。
今回 PoC に向けた MoU に調印した日本側のスタートアップと、タイ大手財閥および傘下の各社は次の通り。両者間には NDA(情報非開示契約)が存在するため、具体的な活動内容について詳述できない点については容赦いただきたい。ウミトロンについては個別に話が聞けたことや、GROUND については既にプレスリリースが発表されているので、その内容を加味する。
<参考文献>
CP Foods(タイ証取:CPF)とウミトロンが、世界最大のエビ養殖事業者である CP Foods と、ウミトロンの AI、オートメーション技術による「次世代サステナブル海老養殖モデル」の実現に向けたパートナーシップを締結する。
CP Foods では、環境負荷の低減を目指し、Zero Wastewater(水を浄化循環し交換しない)、Zero Antibiotic(抗生物質無投与)、高密度(単位容積あたりの養殖個体数を上げる)での養殖技術の開発を行っている。この状況下では、エビが病気になるリスクを減らすため、病原体の感染経路となり得る人を養殖環境に近づけないことが望ましい。ウミトロンが得意とする遠隔での養殖管理技術、給餌最適化などで CP Foods にノウハウや技術を提供する。
ウミトロン共同創業者でマネージングディレクターの山田雅彦氏によれば、両者が出会う契機となった Rock Thailand が開催されたその日のうちに、CP Group のチェアマンに興味を持ってもらい面談、そして、社長直下の CDO(Chief Digital Officer)と面談。その場で CP Foods で次世代型養殖を担当している SVP を紹介してもらい、翌週には CP Foods を訪問と話がトントン拍子で進んだという。
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WHA は、東南アジアにおけるECの急成長を受け、そのサプライチェーンの中心をタイに構築することを目指し、同社の主要事業の一つである物流事業を強化している。GROUND の AI やロボティクス等の先端テクノロジーを活用したソリューションと、タイ最大の物流倉庫運営者のWHAの両社の技術とノウハウを共有し、次世代物流プラットフォーム構築の共同開発に取り組むとともに、タイ国内の物流オペレーションの競争力を高め、物流・EC 改革を推進する。
同社の発表したプレスリリースによれば、タイにおける次世代物流プラットフォーム構築の共同研究・共同開発、GROUNDが有するソリューション「LogiTech」の WHA への提供、GROUND が有する物流オペレーションにおけるノウハウと知見の WHA への提供、WHA が有する物流施設および共同研究に利用できる施設の GROUND への提供、タイの物流・EC 改革に向けた協力・支援体制構築に向けた協議が協業内容に含まれる。
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スカイディスクと TTCL(タイ証取:TTCL) は、火力発電所の燃料効率を向上させて電力供給の安定化を図るべく、膨大な運転データ、ビッグデータを分析し、AIがより効率の良い運転方法を決定する事で、今までは熟練のオペレーターが経験でのみなし得た高効率運転を実現する。
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タイの DRVR の有するフリートマネジメント技術と、凸版印刷(東証:7911)の ID セキュテリティクラウド「IDaaS」を活用したシェアリング技術の融合による新たなモビリティサービスの提供を目指して、新モビリティサービスの共同開発や共同マーケティングの実施を行う。
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豊田通商(タイ)と Flare が、Flare の提供する、スマートフォンのみで運転動態データの取得・解析ができる Flare Analytics を活用し、安全運転に関する実証実験ならびに製品開発を行う。また、その成果をタイの安全運転への取組みにも活かす。
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リバネスと InnoSpace が形成するスタートアップエコシステムビルディングに関するノウハウやネットワークを共有するとともに、共同事業などを通じて、ディープテックの育成・推進を日タイ両国で図る。
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