まずは変更点を整理しておこう。
今回のモデルチェンジでは、DAC回路のグレードアップが音質面では最大のトピックだ。2機種ともシングルDACの差動出力により、SNと歪率を一気に改善。NODEではDACチップ自体も「PCM5122」から上位の「PCM5242」に格上げしており、それだけでもSNが向上するのだが、差動構成に変えたことの方が音質改善への寄与は大きいと思われる。
NODEとPOWERNODEどちらも、シングルDAC内での差動2ペア構成となったが、コンパクトなNODEでは特に基板設計で工夫が求められる。
今回、NODEにもHDMI入力を追加しているので、基板の変更とパーツの追加は不可欠で、価格は若干だが上昇した。HDMIはテレビの音声出力をPCMで受け取り、アンプなどオーディオシステムにつなぐ用途がメインになる。アンプ内蔵のPOWERNODEは従来からHDMI端子が付いていたが、NODEにも同じ装備を求める声が強かったのだろう。
NODEの背面。新たにHDMI入力(eARC対応)が追加されたPOWERNODEの背面基本ソフトを動かすARMのプロセッサーは、従来のシングルコア(1GHz)からクアッドコア(1.8GHz)に強化し、約8倍のCPU性能を得て動作スピードを大きく改善しつつ、将来の機能拡張にもそなえている。CPUの強化はアプリの操作レスポンスにも影響が及ぶので、使い勝手の改善が期待できそうだ。
NODEは前作と同様に同軸と光のデジタル出力があるが、ファームウェアのアップデート後にはUSBからも信号を取り出せるようになるという。今回の試聴は年末年始の時期に重なったのだが、設置後すぐにアップデートが行なわれたようで、ストリーミングとNASのネットワーク再生の両方で外部USB DACを用いたハイレゾ再生ができるようになった。その詳細は記事後半で紹介する。
サテン・ホワイトサテン・ブラック中身の進化に比べると外見の変更は控えめだ。
最初は目を凝らしてもわからないのだが、動作状態ならトップパネルの表示がすっきりしていることに気付く。従来は操作パネルを囲むように配置していた放熱孔を最小限に減らし、その分だけ大きくなったタッチ操作パネルに横長の音量調整用スライダーを導入。スライダーを操作したときは3dBステップ、左右のボタンに触れると1dBステップで細かい調整ができる。
天面のタッチ操作パネル。上部の“白い点”がプリセットボタンになっている従来機「NODE 2i」(左)との比較。操作パネルがサイズアップし、放熱孔が目立たなくなった操作パネルのリア側には5つのプリセットボタンを並べて、アプリを利用して各種入力やプレイリストなど自在に割り当てられるようになった。これらの操作部は手を近付けると近接センサーが反応して浮かび上がる仕組みで、操作時以外は再生中も停止中もブルーの小さなリング状LEDが光っているだけと、非常にシンプルになった。
手を近付けるとセンサーが反応し、インジケーターが光るアプリを使えば、インジケーターの明るさや近接センサーの調整が行なえる操作キーの点灯時間はBluOSアプリで調整ができる。そのほか、仕上げがサテン塗装に変わったようだが、ホワイトだと従来機との違いはあまり目立たない。いずれにしてもオーディオ機器としては異例なほどシンプルかつスタイリッシュで、飽きがこないデザインだと思う。
従来機と同様、リモコンは付属しないが、オプションの赤外線リモコンを購入すると計10個のプリセットを利用できるようになる。お気に入りのアルバムやインターネットラジオ曲を登録しておけば本体に触れなくてもワンタッチで呼び出せるので、プリセット機能を多用する人は検討の価値がありそうだ。
オプションの赤外線リモコン。カラーはブラックのみなお、リモコンには電源ボタンがついているが、NODEシリーズの本体には電源ボタンが付いていない。再生/一時停止キーを長押しすればバケーションモードに入るが、このモードの常用は電源回路への負荷が上がることを理由にメーカーでは推奨していない。今回のモデルチェンジで表示が最小限になったので、電源が入っていても外観上は気にならなくなった。なお、15分以上アイドル状態になると、自動的に省電力モードに入るとのことだ。
正面の青いLEDの下にはステレオミニ仕様のヘッドフォン端子があり、デジタル出力時やアナログの固定出力時でもスライダーやアプリで音量調整が可能だ。音質改善はヘッドフォン出力にも及んでいるので、NODE 2iと聴き比べた結果も紹介することにしよう。
コンパクトな筐体も特徴。NODEの外形寸法は、220×146×46mm(幅×奥行き×高さ)。重量は1.09kg