オンラインのコミュニケーションは、今までと同じようになんとなく話すのではなく、オンライン時代にあったコツを知ることが必要です。それさえ気をつけていれば、苦手の人が圧倒的に多い「オンラインでのコミュニケーション」で差をつけられます。
①画面の映り方 ②音声機器の使い方 ③話し方 ④ホスピタリティーという4つのポイントに絞ってお話ししていきましょう。
①まずは「映り」を気にせよ私は、いつもクライアントに、「オンラインコミュニケーションの際は、テレビに出演するつもりで伝えてください」と話しています。
テレビの世界では、今も昔も「視聴率」が評価の基準です。「見てもらってなんぼ」の業界では、視聴者に見続けてもらうためのさまざまな工夫を重ねてきました。
画面を介してのコミュニケーションという点で、オンラインもテレビと同じ。「中身が良ければ見た目なんてどうでもいい!」なんてことはありません。ぜひ、テレビのディレクターになったつもりで、まずはご自分の「映り方」をチェックしてみるといいでしょう。ポイントは3つです。
1. 大切なのは「カメラの位置」まず、話し手の姿を映すカメラのレンズの「高さ」から。ニュース番組でアナウンサーはカメラに正対して座っていますね。この形を作ります。
ノートパソコンを普通に机に置いて使うとカメラのレンズは目の位置よりもかなり下になります。これだと、相手からは、見下ろされている印象を持たれる恐れがあります。また、顔の下半分が大きく映るため、ちょっと下膨れ気味に映る場合もあります。
そうならないよう、ノートパソコンの下に本を置いたり、斜めに起こすような専用のスタンドを使ったりしてカメラが話し手の目の高さに来るよう調整するといいでしょう。ちょっとしたことですが、印象が変わります。
また、画面に占める顔の大きさの割合にも注意が必要です。
お勧めは、バストショットと呼ばれるサイズ。胸から上、頭の上に拳1つ分くらいの空間ができるような映り方です。こちらもテレビニュースでのアナウンサーの映り方を参考にするといいでしょう。
2. 印象を決める「光の使い方」次に大切なのは「光」です。とにかく「顔が暗く映らないように」。オンライン会議でも、話している人の背景が明るく映っていて、その人の顔が暗くぼんやり見えることがよくあります。テレビニュースでアナウンサーの顔がぼんやり見えていたらどうでしょう。話す内容や説得力にも影響しかねません。
自分が話す部屋に外の光が入る窓があれば、できればその窓を正面に見るように座るといいでしょう。外の光が顔を自然に照らしてくれます。
夜はもちろん、昼でも十分な明るさがない場合は照明が必要になります。照明は、少し離れたところにできれば自分の目の高さよりも少し上に設置するのがよいでしょう。顔の近くの真正面に置くと、光が強すぎて顔がテカる場合もあるからです。
また照明の色も青白い光よりも少し暖かい色のほうが顔色はよく映ります。
3. PC画面でなくカメラを見るカメラをしっかり見て話しましょう。シンプルですが、最も大切なことです。
多くの方は、カメラではなく、「PC画面に映る相手の顔」を見がちです。
気持ちはわかります。話している相手の顔を見ることは、対面で話すときの基本ですからね。しかし、それは対面のときだから通用する常識です。オンラインでは、あなたがPC画面に映る相手の顔を見ていると、相手からはちゃんと自分の顔を見てくれていないように見えるのです。これでは、相手に伝えたいことを訴えかけることはできません。
もちろん時々でしたら、相手の反応を見るためPC画面を見るのは問題ありません。しかしそれ以外の場合は、カメラのレンズを見ることを、基本の形にするように。カメラのレンズこそ、相手の顔であり目なのです。
②音声機器をないがしろにしない!オンライン会議では、相手の声は、マイクを通じて収録され、スピーカーやイヤホンで再生されます。自分の声が相手によく聞こえていない、あるいは、相手の話がよく聞き取れなくてストレスを感じたことはないでしょうか? 話す中身がどんなに良くても、お互い聞きとれなければ意味がありません。音の入り口と出口の部分をないがしろにしないようにするのが鉄則です。
マイクやスピーカーはPC付属のものを使うか使わないか。ここで差がつきます。
まずは音の入り口、マイクについて。マイクは、なるべく口に近いところに置きましょう。PCについているマイクも最近は良質なものが増えていますが、声が小さかったりすると口元から離れているためはっきり聞き取れない部分も出てきてしまいます。
私は、聞こえやすさを重視して、歌手が歌うときに使うようなマイクを使っています。ほかにも、スマホで使うような、マイク付きのイヤホンもマイクの位置が口に近づくようにすれば、よりクリアな音を相手に届けられます。
次に音の出口。できる限り相手の話を正確に聞き取るためにもヘッドホンやイヤホンを使いましょう。ヘッドセットと呼ばれる、ヘッドホンにマイクが最初から付いているものは、音の入り口・出口部分の悩みを一気に解決してくれる、優れものです。
③美声や滑舌よりも大切な「話し方」のポイントオンラインでは対面で話すときよりも、相手が聞き取りにくい状態になっていることが多いもの。そこで、いつもよりも「ゆっくり」「はっきり」話すことを心がけるといいでしょう。だらーっと話すのではなく、話す単語の意味を1つひとつ確認しながらしっかり話すようにすると、スピードも適度に遅くなるはずです。
話し方というと「滑舌・発声」をよくすること、と考える方が多いのですが、滑舌練習するよりも、「ゆっくり」「はっきり」話すよう意識して話すほうが、ずっと即効性がありますよ。
また、オンラインでは、話す音量や微妙な表現のニュアンスが少なからず失われます。そのような環境でリアルのときと同じように話すと、メリハリが感じられず、長く聞いていると退屈な感じに聞こえることが多いものです。
そこで、スピードや間、声の高低など、リアルのとき以上に変化をつけて話すようにしましょう。大事な部分は、ひときわゆっくりと噛んで含めるように。声の高さも、ずっと同じ高さでなく、エピソードなど軽い話のときはやや高めに、重要な内容は低めの太い声で話すなど工夫するようにしてみることです。
④最後のカギは聞き手へのホスピタリティー最後に最も大切なこと。それは、聞き手への心遣い、いわゆるホスピタリティーがあるかないか。ここで大きな差がつきます。
オンライン時代、聞き手は目の前にいません。当然彼らの反応も感じにくくなります。だからこそ、聞き手の気持ちをリアルのとき以上に想像するようにしましょう。相手にどう見え、どう聞こえているのかをつねに意識するのです。
また、話すときもただ話すのではなく、遠くにいる人に向かってことばが届くよう、ふだんよりも「一生懸命語り掛ける」ようにしましょう。私がアナウンサーだった頃、実は最も意識していたのは、この「語り掛ける」ことでした。
見えない相手に伝えるには「想像力」と「心遣い」を忘れない。これこそ、オンライン時代のコミュニケーションの成否を分けるポイントなのです。