一般公開飛行を狙うJoby Aviation社
22年1月、Joby Aviation社は、FCC(連邦通信委員会)にサンフランシスコ湾岸部での試験飛行にともなう電波利用申請を行った。S4の飛行経路はゴールデンゲート橋、アルカトラズ島、ベイブリッチなどの観光ポイントを望む飛行(2ルート)で、実現すれば広く一般市民の眼に触れる公開飛行となる。
2024年からロサンゼルス市、マイアミ市、ニューヨーク市、サンフランシスコ市で商業サービスを狙う同社にとって、地元サンフランシスコでの公開飛行は地域住民の理解と支援を得るための重要なイベントとなるだろう。ただ、公開飛行は連邦機関や州政府、地方自治体との調整が始まったばかりのようだ。
同社の製造モデル1 Joby S4はカリフォルニア州サンタクルーズ周辺でテスト飛行を繰り返しており、昨年7月に最長飛行距離155miles(250km)、最高速205mph(時速330km)を達成したほか、高度7,000feet(約2.1km)を超える飛行を最近行っている。
S4は都市内の短い距離を飛ぶeVTOL。こうしたタイプは一般的に地表から900m以下の運用が想定されている。そのためS4が7,000feetを試験飛行していることに注目が集まっている。
これはFAA(連邦航空局)の機体認証審査において、同高度の飛行を求められていると推測される。FAAが空港での離発着で同高度での待機や侵入を想定しているのか、山岳エリアなどを想定したものか、あるいは米航空法の関係からとりあえず実証をもとめているのか・・・など様々な理由が推定される。
いずれにせよ、S4が繰り返すテスト飛行は、商業化を見据えた本格的な内容になっていることは間違いない。
1 航空機の開発では、技術開発や機能実証のため複数の試験機体(デモンストレータやプロトタイプなど名称は色々)が製作されて試験飛行を繰り返す。そして最終的に製造ラインに乗せる完成形を製造モデルと呼ぶ。