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1コメント1件Steelseries's game headset "Arctis9 Wireless"
コロナ禍で在宅ワークが増え、ビデオ会議が普及するのに合わせて需要が高まっているのが、PC用のヘッドセット(マイク+ヘッドホン)だ。さまざまな価格帯や機能の製品が販売されているが、最近注目を集めているのが「ゲーミングヘッドセット」である。今回紹介するSteelseriesの「Arctis 9 Wireless」は、ゲーマーおよびゲームSend者向けのギアだが、在宅ワーカーにとっても魅力的だった。さっそくレビューをお届けしよう。【写真】本体に加えてUSBレシーバーとUSBケーブル(Type A - micro B)、それに説明書が付属する長時間利用でも疲労感は少なめSteelSeriesは2000年に創業した、デンマークを拠点とするゲーミングデバイスブランドで、プロゲーマー向けのマウスやキーボード、マウスパッド、ヘッドセットなどを販売している。今回紹介するSteelseriesの「Arctis 9 Wireless」は、同社のゲーミングヘッドセット「Arctis」シリーズの最新モデルであり、「Pro」を除いた最上位モデルとなる。価格は2万5,280円。Arctis 9本体の形状は、いわゆるオーバーイヤー形のヘッドホンだ。ゲーミングギアにありがちな、過剰なLEDによる装飾などはないため、ビデオチャット時にも安心して装着できる。オーバーイヤー形はやや大型になるが、オンイヤー型のようにイヤーパッドが耳を押さえ付けないため、長時間の利用でも装着時の疲労感が少ないという特徴がある。また、イヤーパッドで耳を密閉状態にできるため、音漏れが少なく、周囲からの雑音も入りにくい。アクティブノイズキャンセル機能は搭載されていないが、普通の話し声なら気にならない程度の遮音性能がある。ちなみにArctis 9のイヤーパッドの素材は枕やマットレスなどに使用され、東京五輪・パラリンピックの選手村でも使われた「Airweave」素材が標準だが、同社のオンラインストアではレザー製とベロア製のイヤーパッドが別売りされている(Airweaveも含め、いずれも14.99ドル)ので、好みに合わせて変更できる。個人的にはAirweave素材が蒸れにくく快適だったので変更の必要はあまり感じられないが、汚れた時に交換できるのはうれしい点だ。左右のハウジングの後方はインターフェース部になっており、音量の調整や電源のオン・オフ、Bluetooth機器とのペアリング、マイクの消音(ミュート)などが行える。ワイヤレスヘッドフォンのため、内蔵バッテリーへの充電も背面下側にあるmicro USBポート(micro-B)で行う。充電時間は約4時間で、最大で20時間の利用が可能だ。使用の際は上から被るように装着する。重さは実測値で379gと、ヘッドセットとしてはやや重めだが、ヘッドバンドの下にゴムバンド(スキーゴーグルヘッドバンド)が取り付けられており、ヘッドセット全体の重さはこのバンドにかかるようになっている。硬いヘッドバンドが直接頭に当たらないため、長時間の利用でも負担が軽減されるようになっている。また、バンドの長さは頭の大きさや負担に合わせて面ファスナーで調整できる。イヤーパッドで頭を挟み込む側圧についてはやや強めだが、小学生の息子に被らせてみても特に痛さなどは感じないとのことだった。筆者は頭がかなり大きいのだが、前述したように耳がイヤーパッドにすっぽり収まっているおかげで、痛みや圧迫感を感じることは少なかった。ただし、眼鏡をかけている人はツルがイヤーパッドに押し付けられる可能性があるので、うまく調整するといいだろう。音質は平均的ヘッドホン部は直径40mmのネオジウム製ドライバーを搭載しており、Windows PC利用時はDTS Headphone:X v2.0での擬似サラウンド再生も可能だが、特にハイレゾ対応というわけではない。価格帯を考えるとハイレゾ対応してほしい感はある(同シリーズのProはハイレゾ対応)。音質は素直でやや平坦、特に強調された音域は感じられない。本来の用途であるゲームでの利用を考えると、FPSで敵の足音などを聞き取りやすい調整にしているのだろう。一方で低音部や高音部の強調も弱めなので、聞いていてパンチはないのだが、長時間聞いていても疲れにくいのは悪くないと思った。Windows PCであればSteelseries Engineでイコライザが利用可能となっていて、低音部の強調や、会話を聞き取りやすい設定を選択できるので、好みの設定にするといいだろう。マイクは左側のハウジングに内蔵されており、必要に応じて引き出して使用する。MicrosoftによるDiscord互換認定を取得したノイズキャンセル機能が付いており、周囲の音を拾わず、クリアな音声での通話が可能だ。ただし拾う音量は小さめに設定されているようなので、マイクを口元までしっかり引き出して、はっきりと発音しないと聞き取りにくいかもしれない。ウェブ会議などで使う前に、一度調整しておくといいだろう。また、右ハウジングのミュートボタンでマイクをオフにすることもできる。オフになっているときはマイクにあるLEDが赤く点灯するのですぐに確認できる。ミュートを使おうとしているのにマイクが入りっぱなしで変な声が入ってしまうというようなミスは防げるだろうが、他人がマイクオフであることを確認できるので、ウェブ会議などではソフト側のマイクオフ機能を使った方がいいだろう。多様な接続方法をサポートヘッドセットの接続はBluetoothおよび、2.4GHz帯の電波を利用した独自形式を採用しているが、USB(micro-B)、または3.5mm径のステレオアナログケーブルを使って有線ヘッドホンとしても利用可能だ。独自形式の接続では付属するUSBレシーバーを使用し、Bluetooth接続の場合はPCやスマートフォンなどが内蔵するBluetooth機能を利用して接続する。無線接続が2種類あるのは、Bluetoothは業界標準の規格のため、他社製品を含めて接続できる機器が多い互換性の高さを、独自形式ではBluetoothよりも遅延が少ない点を生かして利用するためだ。USBレシーバーはあらかじめペアリングが済んでおり、電源を入れるだけで接続される。Bluetooth接続はハウジング右後ろにあるBluetoothボタンを長押し(6秒)して接続モードにし、ペアリングを行う。Bluetoothでは自動再接続はできないので、ペアリング後も毎回接続しなおす必要があるのはちょっと残念だが、基本的には独自形式での使用がメインという考え方なのだろう。Arctis 9は、接続自体は簡単なのだが、対応する機種がWindows PC、Macおよび家庭用ゲーム機(PlayStation、Xbox、Nintendo Switch)、スマートフォン/タブレットと選択肢が多いため、どの機器でどの接続方法を使うかを考えると悩ましい。基本的にはメインとなる機器がUSBレシーバー+独自形式で、サブとなる機器がBluetooth接続を選ぶというのがよさそうだ。在宅ワークでもミキシング機能が活躍Arctis 9最大の特徴は、前述したように、Bluetoothと2.4GHz独自形式の2つの接続方式をサポートしており、なおかつ同時に再生できる点だ。開発元としては、PCとは独自接続でゲームをしながらBluetooth接続のスマートフォンでDiscordを使ってチャットする、あるいはゲーム機とPCのチャットアプリを併用する、といった利用を想定しているようだ。音声チャット機能のないゲームの場合、こうした外部チャットでの連携が勝利への大きなポイントになるのだ。通常、こうした機能を利用するにはミキシングアンプが必要で、2つのソースのうち片方は優先接続を使うことになるが、Arctis 9は追加のアンプを購入したり、面倒なセットアップをしたりする必要なく、かつワイヤレスで両立できてしまうのが最大の強みだ。2つのソースの音量バランスは、左側のハウジング後方にある「ChatMix」ダイヤルで調整できる。中間にすると両方の音が同時に聞こえ、上下に回すことで音量をどちらかの音に寄せられるので、音声チャットを適正な音量にしておけば、大事な指示を聞き逃すこともないだろう。ゲームでは大変有効なミキシング機能だが、在宅ワークであれば、PCは独自接続でZoomに接続しながら、スマートフォンやゲーム機の音楽を流しておく、あるいはPCで動画を流しながらスマートフォンへの着信に出る、といった使い方もできる。双方の接続の音は互いに影響しあわないため、Zoomで会議しながら、BGMとして音楽を流したり、動画を見たりしていても会議にその音が流れることはない。在宅ワーク中は音楽を流しながら作業するという人も多いだろうが、電話が来るたびにヘッドセットを外して対応するのは面倒だし、(いささか不真面目だが)発言の機会がほとんどないウェブ会議で長々と話を聞いているのも退屈だ、という人もいるだろう。そんなときに別ソースからの音を聞けるというのは、想像以上に便利だと言える。いずれにしてもサウンドミキシングをゲーマーだけに使わせておくのはもったいない。もちろん、在宅ワークが終わったらそのままゲームに突入、という人なら、Arctis 9はベストなソリューションとなるだろう。ゲーミングヘッドセットは見た目が派手なものや、価格帯が高価なものが多く、一般ユーザーからするとなかなか手が出ないジャンルだが、Arctis 9は意外なところで在宅ワーカーにも実用性のあるユニークな製品となっている。生粋のゲーマーはもちろん、電話での連絡が多い、ウェブ会議に出る機会が多いユーザーにも、ちょっと注目してほしい一品だ。
Hai Lao Hara Akira
最終更新:マイナビニュース