ドローンのオープンソフトウェアプラットフォームが火星探査支える技術企業と提携--業界変える動力へ - ZDNet Japan

 火星や月面の探査にも使われている精密モーターを設計している企業が、オープンソースのドローンアーキテクチャーを開発している企業と提携関係を結んだ。火星探査で使われた自律型ヘリコプター「Ingenuity」と探査ローバー「Perseverance」に使われた技術を持つ企業であるmaxonは、エンタープライズ向けのオープンなソフトウェア定義ドローン向けプラットフォームを開発しているAuterionと戦略的パートナーシップを結んだことを明らかにした。

 この提携はささいな業界ニュースの1つに見えるかもしれないが、実際には、企業や政府向けのドローン業界の未来を暗示するものだ。政府や企業向けのドローン業界は、増大するDJIの存在感の陰で大きく変わりつつあり、オープンソースがその変化に重要な役割を果たしている。

 最近の経緯を簡単に説明しよう。筆者が以前書いた記事で説明したように、ドローン業界は転換点を迎え、一握りの企業が業界を牛耳っている。その中でも特に目立っているのがDJIだ。市場が独占状態のようになっているため、現在では一企業が圧倒的なシェアを持つ独占企業に対抗することはほとんど不可能になっており、事業規模の拡大が容易ではなく、各企業がイノベーションのための「車輪の再発明」を強いられていることもその状況に拍車を掛けている。

"レッドハットのモデル"で挑む、ドローンのオープンソースプラットフォーム--中国DJI対抗なるか

ドローンのオープンソフトウェアプラットフォームが火星探査支える技術企業と提携--業界変える動力へ - ZDNet Japan

 ところが、その状況が変化しつつある。これは主に、米国の政府機関や企業で、中国企業であるDJIの製品を利用することが難しくなっているためだ。これによって業界全体がリセットされる余地が生まれており、最近ではオープンソースが重要な原動力となってイノベーションやパートナーシップが生まれている。精密モーター企業であるmaxonと、オープンソースの標準に基づく使いやすいプラットフォームで、企業や政府にソフトウェア定義ドローンやペイロード、サードパーティーアプリケーションのエコシステムを提供するAuterionの戦略的パートナーシップは、この業界に大きな可能性をもたらす。

 Auterionの共同創業者であるKevin Sartori氏は、「Auterionとmaxonのパートナーシップは、米国の連邦法による差し迫った問題も解決する、最高のドローン技術を提供する」と述べている。「多くの公益企業やその他の企業が、行政の規制措置に適合するシステムを提供するドローンサービスプロバイダーを必要としている。maxonのような優れたパートナーで構成された、当社のオープンソースのソフトウェア定義ドローンエコシステムは、ドローンの部品や自律運用技術に対するさらなる信頼を得るのに役立つだろう」

 両社によれば、この新たなパートナーシップによって、ドローン業界に航空電子工学技術とモーターの両方を包含したオープンなエコシステムが生まれる。顧客は、Auterionの「Skynode」などのモジュールと、maxonの「EC 87 flat UAVモーター」などの業界最高クラスのBLDCモーターの組み合わせはじめとする、そのエコシステムのメリットを享受できるようになるという。また両社は、実装に使われるオープンソースの標準は、ドローン業界の次のフェーズで、企業のドローン利用の規模拡大やスムーズなワークフロー管理などの課題に重要な役割を果たし、オープンなエコシステムでシステム統合を行えば、商用利用、政府利用、非営利利用のすべてのケースで、コンポーネントのアップグレードや、さまざまな特殊なペイロードや積荷を運ぶ小型、中型、重量物運搬ドローンを併用したポートフォリオへの対応も容易になると述べている。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。