[「Find X3 Pro」の色彩技術、OPPO担当者との質疑応答] - ケータイ Watch

 OPPOがフラッグシップスマートフォンとして打ち出した「Find X3 Pro」。メディア向けに、Find X3 Proの色彩技術などを紹介するオンラインラウンドテーブルが開催され、本誌ではその様子をお伝えする記事をすでに公開した。

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 本記事では、OPPOのイメージングプロダクトマネージャーである、白浪(Bai Lang)氏との質疑応答の様子をお届けする。

白浪(Bai Lang)氏

――10億色の表示と1670万色の表示は、人間の肉眼から見てどういった差があるのか。

白浪氏 動画を例に挙げたい。720ピクセルの動画を観ると、「それほど(画質が)きれいではない」と思い始めるころだと思う。でも720ピクセルの動画は、数年前の時点で「HD」として定義されていた。

 同じ理屈で、数年後に10bitのエコシステムが普遍的になった後、今の8bitの画像や動画を観ると、(先に挙げた動画の例と)同じギャップを感じられるのではないだろうかと思う。

――では、人間の目はディスプレイに表示される10bitと8bitを見分けられるのか?

白浪氏 肉眼で10bitと8bitの区別はできるが、特定のシーンという条件がある。

 特にディスプレイに関していえば、プレゼンテーションで示した夕日のようなシーンであれば肉眼で区別できる。特に、明るい部分と暗い部分の間に「色の断層」ができるからだ。

 ただし、すべての写真において、肉眼で違いがすぐにわかるということではない。夕日や夜空の撮影などで、実感しやすいものだといえる。いずれにしても、10bitであれば、色彩の表現やグラデーションがよりスムーズになるということは間違いない。

――「10bitフルパスカラーシステム」を開発した経緯について詳しく教えてほしい。

白浪氏 我々としては、「写真の原点」を考えた。ユーザーの皆さんは写真を通して日常を記録し、思い出をちゃんと残したいという思いがある。

 これはある意味究極的な話だが、写真は将来に記憶を残すものであり、昔の思い出に触れたい場合は、写真を見返すということになる。

 そこで我々は、よりリアルな世界や色彩情報を記録して残せるように、10bitフルパスカラーシステムを導入した。

――10bitフルパスカラーシステムの、最も大きなアドバンテージはどのような点にあるのか。

白浪氏 単一機能の微調整やアップグレードというところにとどまらず、OS上のボトムレイヤーレベルでの改善や、システム全体としてアップグレードした点。

 したがって、今後も機能のアップグレードが期待できることに加え、我々としてもシステム全体の向上を図っていける。

――10bitフルパスカラーシステムの開発において、最も苦労した点などを教えてほしい。

白浪氏 主に2つあり、まずは「技術上の課題」になる。技術面に関しては、プレゼンテーションでも示したとおりで、Android OSのボトムレイヤーに対する再構築や、アルゴリズムの最適化に苦労した。また、業界のさまざまなパートナーとの連携も挙げられる。

[「Find X3 Pro」の色彩技術、OPPO担当者との質疑応答] - ケータイ Watch

 続いて、「表現力」の部分でも悩んだ。今回10bitの画像データをディスプレイに再現する中で、「どうやって正しい色彩を表現するのか?」という壁があった。

 さまざまなテストを実施したが、モジュールの設定をたったひとつ間違えただけで、全体的な表現に影響を与えてしまうようなことがあった。そこで色彩の専門家などとタッグを組んで課題を克服し、システムや端末の開発を行ってきた。

――互換性に関して、10bitの画像データは、ほかの端末で確認するときに何か違って見えるのか? あるいは、データをほかの端末に送った際、何か補正がかかるのか?

白浪氏 その端末に10bitフルパスカラーシステムが搭載されている場合、表示される10bitのデータが、OPPOの端末と異なることはない。

 ただし、搭載されていない場合に関しては、表示の保証はできない。また、我々はデバイスの違いによって補正をかけるようなことはしていない。

――10bitの処理に関してAndroidの再構築などをしたとのことだが、Androidに対してフィードバックを行い、OS自体に組み込むような計画はあるか。

白浪氏 我々はグーグル(Google)やクアルコム(Qualcomm)、サードパーティのパートナーとともに10bitフルパスカラーシステムを研究・開発してきた。

 将来的にAndroidにフィードバックしていくかどうかに関して、他社からのコメントはお伝えできない。ただし、OPPOとしてはフィードバックはしている。

――次の「Find」シリーズに関しても、10bitフルパスカラーシステムを搭載する予定なのか。

白浪氏 おっしゃるとおり、次世代の製品にもシステムを搭載する見込み。

――今後、ミドルレンジやエントリーモデルにも10bitフルパスカラーシステムを拡大していく予定はあるか。

白浪氏 もちろん我々としては、ミドルレンジやエントリーモデルでもシステムが使えるよう努力していきたい。

 ただし、10bitフルパスカラーシステムは「機能」ではなく、OSのボトムレイヤーのひとつの基礎能力というか、技術という位置づけになる。

――他社のスマートフォンで、10bit対応ディスプレイをアピールする製品も出ているが、OPPOの優位性はどのあたりにあるのか。

白浪氏 まず、他社製品に対してはコメントを控えたい。我々の優位性としては、最初のデータ収集からコーディング・デコーディング、さらに保存や表示まで、フルパスの管理としてアルゴリズムの最適化も含めて研究・開発しているところにあると思う。

 画像処理は特に重要視しているカテゴリーで、10bitのエコシステムの構築を今後も進めていきたい。

――多くのスマートフォンメーカーが、望遠レンズのようになるべく遠くを撮れるカメラを開発しているが、OPPOはなぜ「顕微鏡機能」を開発したのか。

白浪氏 まず少し補足したい点として、OPPOのスマートフォンに搭載されている望遠レンズも、常に業界をリードするようなものになっている。

 そして我々は、「ユーザーが日常生活の中でどのようにスマートフォンを使っているか」ということを考えて開発を行っているが、「顕微鏡機能」はひとつの試みというか、「遊び心」と表現できるかもしれない。ユーザーが日常のマイクロ世界の中で好奇心を持てるように、新たな機能として開発した。