恐怖の竜巻、台風より猛烈な暴風 滋賀を襲った4年前の竜巻を振り返る

竜巻で民家の屋根が飛ばされ、走行中の軽自動車を直撃した(2018年6月29日、滋賀県米原市朝日)

竜巻で屋根が飛ぶなどの被害を受けた住宅地=2018年6月29日、滋賀県米原市(小型無人機から)

 10日から11日にかけて、米国南部ケンタッキー州などで竜巻が発生し、多数の死傷者を出す甚大な被害となった。被害の全容はまだ分かっていないが、死者が100人を超える「史上最悪の被害」との見通しもある。日本も、米国ほど巨大ではないが、たびたび竜巻の被害に見舞われている。台風よりも猛烈とされるその威力を、2018年に滋賀県を襲った竜巻から振り返る。

 2018年6月29日午後1時40分ごろ、滋賀県米原市で竜巻が発生し、多数の家屋の屋根が飛んだり、窓ガラスが割れたりした。割れたガラスが当たるなどして8人が軽傷を負った。この竜巻は、近畿地方で過去最強クラスで、被害家屋は140棟にのぼり、南北3・7キロにわたって「暴風」の爪痕が残った。

恐怖の竜巻、台風より猛烈な暴風 滋賀を襲った4年前の竜巻を振り返る

 竜巻に巻き込まれたエリアでは、住宅や車が壊れたり、電柱や樹木が倒れたりする被害が出た。住宅内で遭遇した女性は、「地震かと思った。雨が降ってきたと思ったら、バリバリという音がして家が揺れ、窓ガラスが割れた。あっという間やった」と恐怖を語り、公園で巻き込まれた男性は「体が持ち上げられそうだった。よく命があったと思う」と顔を引きつらせた。

 竜巻には、強さの尺度「日本版改良藤田(JEF)スケール」がある。この竜巻は、JEF2と推定され、最大瞬間風速は65メートルに達していたとみられる。これは、大型車が横転したりコンクリート電柱が倒れたりする強さだ。

 京都府や滋賀県の各地の観測史上最大の瞬間風速は、京都市42・1メートル、彦根市42・5メートル、舞鶴市51・9メートルで、竜巻は「過去最強」の台風よりも激しい風だった。しかし、それでもJEFスケールでは、6段階中で強いほうから4番目といい、竜巻の猛威がうかがえる。

 日本では、JEF4以上の竜巻は過去に確認されていないが、JEF3は十数年に1度程度、JEF2は数年に1度程度、全国のどこかで発生している。

 竜巻の前兆としては、「真っ黒な雲が近づく」「ひょうが降る」などがある。こうした現象が見られた時は、なるべく頑丈な建物に入り、窓から離れることが望ましい。

 また、竜巻が発生しそうな気象条件となった時は、各地の気象台から「竜巻注意情報」が発表されるので警戒したい。