住宅街を走るサル=白山市美川地区
捜索隊を見下ろすサル
屋根から屋根へ飛び移るサル
白山市美川地区で6日、サル1頭が目撃され、市職員や白山署員らが小型無人機(ドローン)も投入して6時間にわたって捕獲を試みたが、取り逃がした。蝶屋小では保護者と一緒に帰宅する児童が近くを通るサルを目撃する場面もあった。けが人はいなかった。
サルは体長約80センチで、成獣とみられる。4~5日に小松、能美市で相次いで目撃されたサルと同一個体が北上した可能性がある。
6日に最初に目撃されたのは、午前8時50分ごろ、白山市湊町の湊リフレッシュセンター付近だった。通報を受けた市職員や署員、県猟友会白山支部メンバーら約20人が行方を追う中、サルは手取川左岸から右岸に移動した。
午後0時20分ごろには、手取町の民家2階外側の隙間に逃げ込んだ。捜索隊が近づけず、市職員が操作するドローンで上空から威嚇。地上に降りたところを捕獲する「挟み撃ち」作戦を取ったが、隣の建物の屋根に飛び移って逃げ続けた。
その後、サルはJR北陸線の線路を横切り、蝶屋小前の道路を通って西米光町の堂尻川河川敷の茂みに入って姿を消した。ドローンのカメラを赤外線に切り替えて上空から探したが見つからず、午後3時半ごろ、この日の捜索が終わった。
サルはたびたび、民家の屋根の上に姿をさらした。しかし、住宅街で猟友会員の猟銃は使えず、捕獲手段は網などに限られた。
蝶屋小では、サル出没情報を受けて、児童約260人が保護者と一緒に帰宅するところだった。サルと児童は離れていたため被害はなく、荒木直子校長は「美川でサルの出没は初めて聞いた。7日の登校時は安全確保へ保護者の付き添いをお願いした」と話した。
市は7日も美川地区で捜索を続ける。市森林対策課はサルに出くわした際は爪で引っかかれたり、かみつかれたりしないよう、目を合わせず静かに立ち去ってほしいとしている。
県によると、サルの農作物被害は昨年度、県内で601万円が確認され、統計が残る1999年度以降で最多だった。県立大の大井徹教授(動物生態学)はサルの生活圏が山地から平野に広がってきていると指摘し、餌となる夏野菜や果樹の早期収穫、適切な追い払いに努めるべきだとした。
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